最良のフォーメーションとは? サッカーに学ぶ「人事戦略の極意」8カ条
WHAT CEOS CAN LEARN FROM THE WORLD CUP
■重責を担う監督
どんな戦術を使い、どんな陣容で戦うかの決断を担っているのが監督だ。優れた監督はコミュニケーション力に秀でていて、選手たちのモチベーションを高める達人でもある。前述のクロップのように、サッカーにおけるイノベーションの源泉と呼ぶべき監督もいる。
監督の仕事はサッカー界で最も厳しいと言っていいだろうし、その厳しさが増すばかりなのは監督の交代が多くなっていることからもうかがえる。
イングランドのプレミアリーグにおける監督の平均在任期間は、1992年の3.5年から16年には1.3年に縮まっている。在任20年を超えたアーセナルのアーセン・ベンゲル元監督やマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン元監督のすごさが分かる。
■ドリームチームの作り方
私たちは最新の解析技法を用いてチームを設計すべく、ドイツのプロサッカー・ブンデスリーガの1部リーグの13~14年シーズンから18~19年シーズンまでの6シーズンの勝敗や引き分けを含むデータを収集・分析し、各ポジションの重要性を評価した。
データセットには26の説明変数のほか、25のポジションや監督も変数に含めた。「ランダムフォレスト」と呼ばれる機械学習のアルゴリズムを用いて、選手などのポジションやチームを入れ替えたときの各変数の貢献度の変化を「平均正解率減少量(MDA)」という重要度を割り出す手法で調べた。MDAが大きい変数ほど、重要度は高いということがいえる。
■分析から見た重要ポジション
私たちは分析結果から最終的なモデルを2つ、つまり引き分けがあるモデルとないモデルをつくり、それぞれで各ポジションの相対的な貢献度を計算した。それぞれのモデルにおける貢献度の高い5つのポジション変数については下の表を参照していただきたい。
この結果から分かるのは、ディフェンダーとゴールキーパーが最も重要なポジションということだ。表にあるとおり、それぞれのモデルの上位3つを、また両方のモデルを合わせた10の重要ポジションのうち7つをディフェンダーとゴールキーパーが占めている。
また、左右のサイドバックとゴールキーパー、そして左サイドハーフの4つのポジションは、どちらのモデルでもランクインしている。