「3分は長い」時間管理が上手な人に特有のマインドとは?
挑戦を恐れるな。古いものにしがみつくな。無洗米の奇跡を忘れるな! 無洗米に出会い米を研がずに過ごす8時間が無駄とわかって数年が経過した。
人間とは忘れる生きものだとよく言うが、私はそんな忘れっぽい生きもののなかでもダントツに忘れやすいようで、無洗米と出会った奇跡を徐々に忘れ、というか、無洗米のありがたさに気づいた瞬間のあの感激が徐々に薄れ、なんと、無洗米を炊くことすら面倒だと思うようになってしまった。こうなってくると、家事拒否の最終形態ではないかと自分でも考える。
しかし、私はあきらめない。精米と無洗米を遙かに超えた先に解決策を見いだそうとしている。
今度は、炊飯済み白米のパックの登場である。悩む以前に炊けている。そのパックの白米を1ダース程度、戸棚に常備しておくことにしたのだ。
地震といった災害の多い国に住む主婦としては、ローリングストックの一品としても重宝するし、いざとなったらレンチン2分、あるいは湯煎で、きちんと炊き上がった米を食べることができ、炊けない8時間の苦悩、無洗米でも挫折した絶望がゼロになる優れものなのだ。
ちょっと値段が高いですか? 確かに。しかし自分の時間よりも高価なものなんて、この世に存在しませんと堂々としていることにした。だって、過ぎてしまった私の時間は、これから先、二度と戻ってこないのだから。
私はひとつの真実に気がついている。とても苦手な「米を研ぐ」という作業は、きっと私にとって一生続く苦手なのだ。だから、気楽にいこうと思う。
自分が楽に暮らすことができればそれでいいと、50代になって初めて気づくことができた。小さな努力を重ねればいい。誰の目から見ても、馬鹿馬鹿しいほど下らないことかもしれない。でもそんな小さな努力を重ねながら、私はギリギリで生き延びることにした。
これは、自分の周りの大切な世界を、自分や家族のために住みやすくしていく、愛の話である。
『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』
村井理子[著]
CCCメディアハウス[刊]
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