最新記事

経営

管理職不足になる中小企業の3つの特徴

2022年10月31日(月)20時25分
伊東 健 ※経営ノウハウの泉より転載

原因その2:計画的に管理職育成を図る仕組みがないから

次の管理職が育っていないという理由で、ある社員が定年を迎えても引き続き管理職的な役割を担ってもらうということがあります。

定年を迎え本来は役職を下りるべきところ、人材が不足しているということでそのままの役割を維持するというケースです。

本当に人材不足でやむを得ないということもありますが、「管理職が自分の後継者を育ててこなかった」ということに起因することもあります。

定年を迎える年はあらかじめ決まっており、それまでに必ず「自分の後継者を育てる」ということを意識して、具体的な育成計画を立て実行に移していれば上記のようなことは起こらなかったかもしれません。

■対策

あらかじめ後継者となり得る部下を選定し、定年を迎えるまでの数年間は後継者育成を最優先の目標に設定するということが挙げられます。

毎年どのような業務を教えていくかというような管理職育成の計画を作成し、会社のバックアップのもと実行に移していきます。現管理職が直接指導するOJTに加え、管理者が身に付けるべきテーマについて外部研修で学ぶという風に組み合わせることも有効です。

後継者となる管理職候補に対して、事前に意向を確認した上で管理職育成を図ることでよりスムーズな移譲にもつながるでしょう。

(参考記事)思わぬ落とし穴も!? 義務化された「管理職の労働時間把握」罰則と勤怠管理法を解説

原因その3:管理職としての責任ばかり重くて権限が少ないから

管理職として、担当する組織について様々な責任を負っている一方、それを達成するための十分な権限がないという場合です。

例えば、管轄する組織の売上目標達成を目指すために部下へ指示命令する権限がなければ、当然ながら目標達成は難しいです。高い目標に対する責任を負っていながら、達成するための創意工夫する余地が少ないことや、自らが実行者として動かざるを得ず疲弊してしまうでしょう。このようなことが起これば、それを見ている若手社員は管理職を目指すことに対して希望を失ってしまうかもしれません。

「管理職になっても大きな責任を持たされるだけで魅力がない」という風になってしまえば、そもそも管理職を目指したいという社員がいなくなってしまいかねません。

■対策

管理職として担うべき責任とそれを果たすための権限の大きさが一致しているか確認しましょう。

例えば、組織の売上や利益目標に責任を負っているのであれば、それを達成できる経営資源の配分や指示命令などを行えることが前提になります。

面談などを行い、目標自体に対する同意や実行するための計画立案のフォローを行い、管理職と経営層で目線をすり合わせることも有効でしょう。

もし管理職不足に陥っていると感じていて、ここで挙げた3つの原因が該当するということであれば、ぜひ対策の検討をしていただきたいです。

きっと管理職不足解消の一手となることでしょう。

2021.10.18

[執筆者]
伊東 健
K.I.パートナーズ株式会社 代表取締役
中小企業診断士 事業承継士
中小企業の後継者として12年間経営に携わる。その後、経営コンサルティング会社を経て独立。人事制度設計や管理会計制度構築など、組織人事や会計の分野において中小企業を専門に支援している。経営者のパートナーとして、従業員満足・顧客満足・高収益が好循環する会社づくりに貢献すべく日々活動している。

※当記事は「経営ノウハウの泉」の提供記事です
keieiknowhow_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中