格好いい言葉も、よどみない喋りも邪魔なだけ...プロが教える「話し方」3つのコツ
ひきたよしあき氏(本人提供)
<『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』『「スルーされない人」の言葉力』著者・ひきたよしあきさん>
ここ数年、「話し方」の本が大変よく売れています。
新型コロナウイルス流行の影響でリアルからオンラインへと移行し、さらにハイブリッドワークの導入が進むことで、リアルとオンラインの両方に対応することが求められるようになりました。従来のコミュニケーション法だけでは対応しきれなくなり、「話し方」の本がよく手に取られているようです。
今回お話をうかがったのは、政治、行政、大手企業などのスピーチライターとして活躍中のひきたよしあきさんです。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』『「スルーされない人」の言葉力』(大和出版)、『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)など、「話し方」本で多数のヒットを飛ばしています。
そんなひきたさんに、“今日から試せる”「話し方」のコツを株式会社フライヤーの執行役員・井手琢人がうかがいました。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
「カッコいい言葉」より「わかりやすい言葉」
井手琢人(以下、井手) ひきたさんは「スピーチライター」という珍しい肩書きですね。
ひきたよしあきさん(以下、ひきた) 博報堂に長く勤めていて、初めの頃はCMプランナーをはじめとするクリエイティブの仕事をしていたんですが、ある時期からスピーチを書く仕事を任されるようになりました。会社の中でも極めて珍しい仕事ですね。
東日本大震災があったときに、さまざまな情報を一般の方にわかりやすく伝える必要性を感じました。その頃から、難しい話を優しく伝えていくことに興味を持ち始めたんです。
井手 政治家や経営者のスピーチは固い印象があるんですが、今はそうではないということですか?
ひきた 官僚答弁みたいなスピーチは一般的には通じないわけです。
例えば選挙があって、一般の方に向けて喋るときには、それ相応の言葉が必要になってきます。難しい言葉をどうわかりやすくするかが非常に大事です。
CMではいわゆる「カッコいい言葉」を作ってきましたが、スピーチライターは「わかりやすい言葉」を作る仕事なんです。
井手 昔は「カッコいい言葉」の方が重宝されていたように思いますが、時代とともに変わったということなんでしょうか?
ひきた 価値観が変わったということだと思います。
行政は行政の方言を、科学技術は科学技術の方言を持っている。若者は若者の方言を、ビジネスパーソンはビジネスパーソンの方言を持っている。
それぞれが専門用語という方言をただ喋るだけでは、通じているようで実は通じていない。そうした日本の現状に気づいたんだと思います。