格好いい言葉も、よどみない喋りも邪魔なだけ...プロが教える「話し方」3つのコツ
方言で話していては伝わらないので、小学校4~5年生でもわかる言葉で表現することが大事です。調べてみると、トランプ大統領の英語は小学校4年生くらいの語彙で構成されていることがわかりました。難しい話題でも、わかりやすい言葉で話すことが重要になっています。
井手 ひきたさんの思う「いいスピーチ」とはどんなものですか?
ひきた スピーチは、相手の頭にインプットするだけではダメだと思っています。内容を理解してもらうだけではなく、聞いた人がアウトプットすることが大事。聞いた人が他の場所で拡散してくれるようなスピーチが理想ですね。
中学・高校時代、人気のある先生は生徒にモノマネされていたと思います。まさにそれが理想です。
苦手意識の「レッテル貼り」に要注意
井手 ここ数年、「話し方」の本で多数のベストセラーが出ていますが、コロナが関係しているんでしょうか?
ひきた 『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』はコロナ前の2018年に発売した本ですが、コロナ禍になってから一気に火がつきました。
コロナ以前も話すのが苦手な人は多かったはずですが、テレワークが始まってから苦手意識を持つ人がますます増えたように思います。さらに今はリアルとテレワークが共存するようになって、コミュニケーションがいっそう難しくなっていますね。
井手 話し方に苦手意識を持っている人は、根本的には何が原因なんでしょうか?
ひきた 私は話し方に苦手意識のない人はほとんどいないと思っています。
今は昔と違って、炎上のリスクを考えなくてはいけなかったり、空気を読まなくてはいけなかったりと、好き勝手には喋れない時代です。自分の意見を言って絶賛されることは稀で、むしろ反対意見が拡散されてしまう。「本音を語ること」や「自分の意見を強く主張すること」が難しい時代になってきていますね。
そうした背景の中で、「自分は話すのが苦手だ」とレッテル貼りをしてしまうと、完全に苦手ゾーンに入ってしまうんです。そうなるとなかなか抜け出せません。100%うまく話せる人はそういないわけですから、苦手と決めつけず「まあ失敗することもあるさ」と思っておけばいいのです。
“今日から試せる”「話し方」の3つのコツ
井手 そんなひきたさんに、“今日から試せる”「話し方」の3つのコツを教えていただけたらと思います。まずは1つ目をお願いします。
ひきた まずは「間(ま)を作ること」です。