インフレでしぼむチョコレート需要 メーカーは「シュリンクフレーション」で対応
生活費の上昇にあえぐ欧米の消費者がチョコレートへの支出を削っていることが、最新のデータやメーカー大手幹部への取材で明らかになった。写真はブリュッセルで2019年4月、ヴィタメールのチョコレート・ワークショップで撮影(2022年 ロイター/Yves Herman)
生活費の上昇にあえぐ欧米の消費者がチョコレートへの支出を削っていることが、最新のデータやメーカー大手幹部への取材で明らかになった。
米チョコレート大手ハーシーの投資家広報(IR)担当バイスプレジデント、メリッサ・プール氏はロイターの取材に対し、過去数カ月間で米国のチョコレート価格は「1桁台後半から2桁台前半」の上昇を示した一方、数量ベースの販売は2―3%減少したと明かした。
ハーシーは以前から需要が減速すると予想していたが、足もとで販売が落ち込むまでは「消費者はほとんど消費を減らしていなかった」という。
小売店のPB商品が販売増やす
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)終盤、他の多くの消費財と同じくチョコレート販売は増加し、特に米国でその傾向が顕著だった。景気刺激策に伴う政府からの給付に支えられたほか、まとめ買いなど「出無精のライフスタイル」が定着したことが背景にあった。
しかし、ここに来て一部消費者の行動に変化が見られるという。例えば店舗で何パックも入った商品を買うのではなく、ばら売りのキャンディーバーを選ぶといった変化だ。
市場調査会社IRIの調べでは、6月12日までの13週間に米国のチョコレート販売は数量ベースで前年同期比1.5%減少した。この間、価格は8.2%も上昇している。
IRIのプリンシパル、ダニエル・サドラー氏は「チョコレート消費は価格に敏感になっていくだろう。消費者は今後もチョコレートを買うが、より小さいサイズで我慢するようになる。販売数量が減っているのはそのためだ」と語った。
IRIのデータでは、有名メーカーの商品よりも安い、小売店のプライベートブランドのチョコレートの販売数量が過去半年間に8%増加したことも分かった。
コンサルティング会社マッキンゼーの調査では、英国の消費者の40%は5月半ばまでの4─6週間で、以前より安い菓子類に移行した。