最新記事

インフレ

インフレでしぼむチョコレート需要 メーカーは「シュリンクフレーション」で対応

2022年7月20日(水)14時00分

安いチョコレートはココアの含有量が少ないため、販売数量が同じでもココア需要は減少することになる。

業界関係者や専門家によると、ロシアによるウクライナ侵攻も需要に打撃を与えた。両国は通常、世界のココア需要の5%を占めている。

シュリンクフレーション

ハーシーはここ数カ月、価格に敏感な顧客が訪れるディスカウント店や「1ドルショップ」への商品提供を効率化、簡便化するため、ペンシルベニア州にある新たな梱包用倉庫を使っている。

ハーシーのプール氏は、同社が一部商品について、価格を据え置いてパッケージのサイズを小さくする「シュリンクフレーション」という手段にも出ていると述べた。チョコレート商品1袋に3ドルしか払えず、5、6ドルは出せないという顧客をつなぎとめるためだ。

プール氏によると、この手法には時間と計画を要するので「想像されるほど頻繁には」使っていない。「インフレが激しいため、定価の引き上げに頼ることの方が多い」という。定価が2ドル未満の商品は、4月にはハーシーの商品全体の25%を占めていたが、現在は約20%に減った。

しかし過去1年半、ハーシーは一部の季節商品についてシュリンクフレーションを行っているとプール氏は明かした。

「キャドバリー」などのチョコレートを製造する米食品大手モンデリーズ・インターナショナルの広報担当者も電子メールで、「一部商品の重量をわずかに減らすことを決めた」と述べた。英国で販売されている「キャドバリーデイリーミルク」は現在、サイズが小さくなっているという。

消費者が安いチョコレート商品に移行するのと同様にシュリンクフレーションも、販売数量が代わらなくてもココア需要が減るという影響をもたらす。

業界関係者や専門家によると、チョコレートメーカーは元々、今年の需要を約2.5%増と予想していたが、現在は1%増に下方修正した。インフレが根強く続き、ロシアとウクライナの戦争が続くなら、来年の伸びはゼロになると予想している。

(Maytaal Angel記者 Jessica DiNapoli記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中