加速するアルゼンチンの仮想通貨人気 インフレリスクが暴落リスク上回る
ブエノスアイレス州のIT専門家、ビクトール・レブレロさん(44)は、月200ドルの上限までペソをドルと交換した後は、余裕資金を毎月ステーブルコインとビットコインで貯蓄している。ペソ建ての定期預金はしていない。
「基本的にその方が失うものが少ないから」とレブレロさん。「アルゼンチンのインフレ率は60%から70%だけど、定期預金の金利は30%から35%だから追いつかない」
マイニングの利益で学校に復学
レモン・キャッシュやブエンビットなどアルゼンチンで業務展開している仮想通貨プラットフォーム運営会社によると、ユーザーの裾野は昨年急激に広がったという。
アルゼンチン中銀は不安定なデジタル通貨に投資するリスクを繰り返し警告しており、慎重な市民もいる。
自営業のコンピューター技術者、マルセロ・ビラさん(37)は、今のところビットコインとイーサリアムに少額を投資しているだけだ。「仮想通貨に投資するお金の割合を徐々に大きくしていく考えだ。でも仮想通貨市場を理解するまでは、それほど多くを振り向けられない」と話した。
一方、首都郊外の貧しいエスコバル地区出身のセバスチャン・カルソリオさん(23)は、仕事で使うパソコンの部品を再利用して組み立てた自作の仮想通貨「鉱山」を使い、貧困から抜け出そうとしている。
自宅のスクリーンには採掘(マイニング)の様子が映し出されていた。「修理してコンピューターに組み込んだ」とカルソリオさん。手始めがイーサリアム、次がビットコイン。おかげで土地を買い、学校に戻ることができた。
「貯蓄するのに良い方法だから採掘を続けていく」と語り、市中の交換所よりも有利なレートでペソと交換できると説明。「お金がないとき、採掘で何度も救われた」と話した。
(Hernan Nessi記者、Agustin Geist記者)
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