デジタルハリウッド大学大学院から、続々と「新たな起業家」が生まれる理由
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ローゼンバーグ 大学院で、岩手県の観光客をどう増やすかという課題に対するコンサルティングを行う授業がありました。岩手県を何度か訪れて役場の人達と話し合い、岩手県にはどんな資源があるのかというところから考えました。その際に、岩手県遠野市では日本の大手ビールメーカーが使うホッブがたくさん栽培されていることを知りました。これをきっかけに、日本のクラフトビール市場の潜在力を感じたのです。
ロバートソン それでは、ベストビアジャパンの事業内容を教えてください。
ローゼンバーグ 主に2つあり、ひとつは物流のインフラを整えることで運送費を抑える「レン樽」という事業。日本のクラフトビール業界は、小ロット生産かつ運送にクール便が必要なことから卸会社などの中間流通が存在していません。そのため醸造所が飲食店にビール樽を送る運送費が高くなることが課題でした。そこで、ベストビアジャパンがリースするビール樽を、各醸造所がシェアすることで運送費を半分にすることを可能にしました。
もうひとつは各醸造所のBtoBのECサイトを核に、出荷だけでなく生産や酒税なども含めたさまざまな管理ができるシステムを構築・運営する事業です。店舗は「送り状」を書く手間がなく、ビール樽にあるQRコードをスキャンするだけで回収を依頼できます。今後は、さまざまな醸造所のビールが1カ所で購入できるプラットフォームもつくる予定です。
ビジネスのリアルを授業の題材に取り入れる
ロバートソン 大学院では、どのような授業を受けられていたのですか?
ローゼンバーグ 起業家として、幅広くデジタルスキルを身につけられる授業がたくさんありました。例えばベストビアジャパンがSNSに投稿している動画は、ここで学んだ技術を使って自分でつくっていますし、会社のウェブサイトも私がつくったものです。
ロバートソン ほかに現在のビジネスに役立っている授業はありましたか?
ローゼンバーグ 最近、約7000万円の資金調達を行ったのですが、これにもDHGSでファイナンスの授業を受けていたことが活かされています。バリューエーション(企業価値評価)はどうするのか、投資家に対してはどんな数字を見せればいいのか、授業ではそんなことまで学べました。
また、コミュニケーションの授業で自己紹介を題材にしたこともありました。起業するには、まず自分のことを覚えてもらわなければ始まりません。撮影用のカメラがまわっている前で自己紹介をして、先生やクラスの人達からフィードバックしてもらって改善する。今でも当時の授業で考えた自己紹介が、ビジネスの現場では役立っています。
ロバートソン 一般の大学院ではそのようなことまではしませんよね。
ローゼンバーグ プログラミングの授業もあるので、自分でもある程度はプログラムを書けるようになるわけですが、現在はさまざまな仕事でプログラマーやエンジニアと一緒に仕事をする機会が増えています。そのときに彼らの仕事について理解していないと、コミュニケーションが取れないという問題が出てきます。どういう情報が欲しいのか、打ち合わせにはどんな準備が必要なのかといったことを、授業を通じて理解できたと感じています。