ビットコインとイーサリアムは実際どれだけ「普及」したのか、データ分析の結果
そして、手数料は、とりわけイーサリアムにとって大きな問題となっています。2020年中盤、イーサリアム取引にかかる平均の手数料(「ガス代」と呼ばれる)が10倍上昇し0.01ETHとなりました。
これは、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)やDeFi(分散型金融)市場拡大の影響であり、同時期に0.01ETH以上の残高を持つアドレスが増加しました。
つまり、上記のグラフで見た0.01ETH(約40ドル)より残高が大きなライブアドレスには、取引手数料が払えないまま放置されたいわば「ゾンビアドレス」が含まれている可能性が出てきます。
ゾンビアドレスを避ける
ゾンビアドレスの影響を避けるため、次に、0.01BTCと0.1ETH(約400ドル)以上残高があるライブアドレスに目を向けてみましょう。
ビットコインに対するイーサリアムの成長率が大きく減少しているのが分かります。
ただ、イーサリアムの2021年の成長はビットコインより速かったことは確認できます。400ドル以上のライブアドレスを見ても、2021年にイーサリアムが274万アドレス増えたのに対してビットコインは88万6000アドレス増に留まっており、両者の差は縮まってきています。
上記の比較には注意事項があります。イーサリアムは、NFTやDeFiの受け皿であるブロックチェーンです。このためイーサリアムのユーザーには、NFTの作品の受け取り用やDeFiのエアドロップ(トークン無料配布)用など、複数のアドレスを作る人が少なくありません。対照的に「デジタルゴールド」として長期保有(ガチホ)が主流のビットコインの場合、複数のアドレスを作る人はあまりいません。つまり、「ユニーク」なイーサリアムのアドレス数を調べる際には注意を払う必要があります。
以下は、0.01BTCと0.1ETH(約400ドル)以上残高があるライブアドレス数と年毎の増加率を比較した表です。
月間アクティブアドレスの限界
月間アクティブアドレスの分析に移りましょう。
「ビットインとイーサリアム400ドル以上のライブアドレスと月間アクティブアドレス」のグラフを見ると、ビットコインもイーサリアムも、基本的には月間アクティブアドレスは、ライブアドレスと同じようなペースで増加していますが、2021年の春から夏にかけては、両者の相関関係が崩れているのがみてとれます。この頃は、中国が仮想通貨のマイニングを禁止した時期です。中国のマイナーたちは、中国国内のマイニング施設を閉鎖し、北米など他の拠点に移りました。同時期には、ビットコインのマイニングに必要な計算力を図るハッシュレートも激減しました。