ビットコインとイーサリアムは実際どれだけ「普及」したのか、データ分析の結果
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<感覚的にはビットコインなどを保有する人や企業の数は増えているように感じるが、実際にはどれほど変化しているのか。オンチェーン分析で計測する>
2021年、日本では暗号資産の盛り上がりはいまいちでしたが、世界ではプロの投資家や大手シリコンバレー企業の参入などが相次ぐなど、一気に普及が加速した年となりました。肌感覚としては、昨年暗号資産は世界的にさらに「普及」したと感じますが、実際のところどのくらい普及したのでしょうか?
そもそも暗号資産業界は、世界中に分散している個人やプロジェクトが自律的に機能しているという特性があり、データを中央集権的に管理する機関は存在しません。このためお手軽に「普及率」を示すことは容易くはありませんが、今回はクラーケン・インテリジェンスのオンチェーン分析を使って「普及率」の計測を試みます。
オンチェーン分析とは、アドレス数や取引量などブロックチェーンにおける取引記録を元に過去の傾向を分析して将来の動きを予測する手法です。今回は、ユーザー数や時価総額、長い歴史といった観点から最も成功している2つの暗号資産──ビットコインとイーサリアムを分析対象とします。
ライブアドレスと月間アクティブアドレス
まずはじめにビットコインとイーサリアムのライブアドレス(live addresses)と月間アクティブアドレス(monthly active addresses, MAA)をみてみましょう。
ライブアドレスについて、ここでは残高が0.001 BTC、0.01 BTC、0.1 ETH、0.01 ETH以上のユニークなアドレス数の合計と定義しました。月間アクティブアドレスは、過去30日間で送金など取引が行われたアドレスの総数です。
まず、0.001 BTCもしくは0.01ETH(約40ドル)より残高が大きなライブアドレスをみてみますと、過去5年間、右肩上がりの成長曲線を描いていることが分かります。2020年の夏ごろからとりわけイーサリアムの成長速度が加速し、2021年10月にビットコインを抜きました。
しかし、この結果を額面通り受け止めてはいけません。「取引手数料」を考察する必要があります。というのも、もし残高より送金に必要な手数料が高ければ、資金を動かすことができず、そのアドレスは放置されるかもしれません。また、手数料が残高の50%を消費してしまうようなケースも同様です。「ライブアドレス」というオンチェーン指標は、ユーザーが放棄した可能性があるアドレスも「ライブ」とカウントしてしまうところに難点があります。