最新記事

働き方

給料据え置きの「週4日勤務」で、生産性と労働意欲を高める会社の挑戦

We're Doing a 4-Day Week

2022年1月28日(金)17時08分
アレックス・オニール(フェアウェイ・ホームケア運営部長)
アレックス・オニール

2022年1月からの週4日勤務導入を社員に告げるオニール EDWIN LADD

<コロナ禍による在宅ワークの広がりで「開眼」。短い労働時間でパフォーマンスを上げることはできるはず>

コロナ禍の18カ月間、「台風の目」のど真ん中にいたわが社は、考えることが山ほどあった。誰もがパンデミックで家に籠もっていた期間中でも、医療・社会福祉専門家を派遣する業務を行うわが社は大忙しだったのだ。

異常な状況下でも「通常」営業していた私たちは、ある意味で幸運だった。そんな中多くの企業が在宅ワークに柔軟になるにつれて、私も北欧式の働き方について考え、調べ始めるようになった。

ここイギリスでは、「最初に出社して最後に帰る」人が英雄視されるようだが、スウェーデンのような国では、遅くまで職場にいるのは仕事の要領が悪いからだと見なされる。その考えに私は共感した。

私たちの会社「フェアウェイ・ホームケア」は、医療・福祉関係のスタッフとクライアントに気を配るあまり、時には自社の社員のことを忘れがちだ。社員の多くは勤続7~9年で、多くが家庭を持っている。

私たちは革新的な仕事をしていると誇りたいし、社員は求められる以上の仕事をしている。だからこそ、ワークライフバランスをもっと追求する必要がある。

長時間労働でのアピールは時代遅れ

私は運営部長として、個人的には9時~5時勤務や、1日12時間働いて猛アピールといった概念は、本当に時代遅れだと感じる。そんなわけで、週5日制と同じ給料で週4日制を導入することは、次のステップとして当然だった。

今年1月から週4日勤務に移行した社員は約40人。打診した際、狙いは何なのかと尋ねてきた人もいた。「なぜ導入するのか」「会社に利益があるのか」と疑問を抱くのが一般的な感覚だろう。社員は裏を探っているように見えたが、ひとたびそこを乗り越えると、次第に週4日勤務でうまくいくかどうかに興味を抱くようになった。

週休3日だと子供の保育費用が浮くと言う社員がいれば、子供が学校に行く間に自分の時間が持てると言う人も、もっと旅行ができるようになると話す人もいた。どんな会社や組織でも、生産性が通常より低下している時間がたくさんある。だからこそ、より短い時間でより集中して働くことができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中