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コロナ禍のインフレという難題に「政治的な思惑」を持ち込んでいては解決は遠い

THE INFLATION CONUNDRUM

2021年12月2日(木)17時20分
カウシク・バス(コーネル大学教授)

小売物価と卸売物価の上昇率が大きく乖離している状況下で、卸売市場で商品や原材料を仕入れて小売市場で販売する零細製造業や自営業者の利益が圧迫されている。そして、小規模業者が生産を縮小することにより、労働者にもダメージが及んでいる。

この状況を打開するためには、卸売物価の上昇に歯止めをかける政策を実施すべきだ。燃料税の大幅な引き下げや、比較的重要性の低い政府支出の削減などが必要になるだろう(ただし、新型コロナ危機により最も打撃を受けた人たちへの支援は続けるべきだ)。中央銀行が利上げを検討してもいいかもしれない。

実体経済と金融経済の相互作用がはっきり分からないなかで、政府が物価を適切にコントロールするのは至難の業だ。政策当局者は、過去のデータの蓄積と主観的判断を組み合わせて行動する以外にない。

それでも、はっきり言えることが1つある。それは、政策決定に政治家の思惑を持ち込んではならないということだ。

©Project Syndicate

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