オミクロン株の出現、主要国の金利政策にも「激震」
UBSインベストメント・バンクの首席エコノミスト、アレンド・カプテイン氏は、新変異株が広がれば米労働市場改善への信頼は消える恐れがあるが、影響を判断するのは時期尚早だと言う。ただ「市場はテーパリング加速と来年の複数回の利上げを拙速に織り込み過ぎていた」と付け加えた。
インフレ下での新変異株出現
インフレの一因となっている供給網の目詰まりが新変異株の出現によってさらに深刻化するようなら、中銀の仕事は一段と複雑化するかもしれない。
インフレ率が10年ぶりの高水準を付けた英国では、景気回復が鈍いにもかかわらず、来年半ばまでに70bp程度の利上げが実施されると市場に織り込まれている。
しかし、26日にはポンドがユーロに対して0.6%下落した。MUFGのアナリストチームは、利上げ見通しが後退した際に最も大きく売られるのはニュージーランドドル、豪ドル、カナダドル、ポンドだと予想している。
欧州中央銀行(ECB)では、新型株の出現により理事会でハト派メンバーの力が増すかもしれない。
ECBは1兆8500億ユーロ(2兆0800億ドル)のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を縮小すると予想されている。しかし、みずほのストラテジスト、ピーター・マカラム氏は、3月以降もPEPPが継続される可能性が高まったと言う。
実際、最もPEPPの恩恵を受ける南欧債券市場は、そうした見方に呼応した動きを示している。10年物のイタリア国債利回りは1%を割り込み、1日の動きとして過去3週間で最も大きな低下幅となった。
マカラム氏は「ECBは、欧州の状況によってPEPPの行く末は変わらないとしているが、新たなワクチンが必要な新変異株が出現したのなら、状況は間違いなく変わる」と語った。
(Dhara Ranasinghe記者 Yoruk Bahceli記者)