最新記事

ファッション

欧米アパレルがアジア離れ コロナ禍のサプライチェーン混乱で生産シフト

2021年11月15日(月)12時16分
セルビア・スメデレヴォの衣料品工場

欧米のアパレル大手やシューズメーカーが、生産拠点をアジアから欧米の店舗に近い地域へと移している。写真はセルビア・スメデレヴォの衣料品工場で4日撮影(2021年 ロイター/Marko Djurica)

欧米のアパレル大手やシューズメーカーが、生産拠点をアジアから欧米の店舗に近い地域へと移している。ベトナムと中国で今年、新型コロナウイルスのデルタ株感染が再発し、生産が数週間にわたって減少ないし停止したからだ。

世界的な物流の混乱とコスト上昇により、企業は世界に広がったサプライチェーン(供給網)と、アジアの低コスト製造拠点について見直しを迫られている。

クロックスなどシューズメーカーも生産拠点移動

スペインのファッション小売り企業・マンゴは5日、ロイターに対し、トルコ、モロッコ、ポルトガルといった国々での生産拡大を「加速」していることを明らかにした。来年には欧州での生産数を「大幅に」増やす方針だという。同社は2019年、製品の大半を中国とベトナムから調達していた。

米国の靴小売り企業・スティーブマデンも3日、ベトナムでの生産を減らすとともに、靴生産の50%を中国からブラジルおよびメキシコに移したことを明らかにした。サンダルの米クロックスは10月、インドネシアやボスニアなどの国々に生産を移しているとした。

衣料・靴メーカーの関心が高まっている国はこのほか、ブルガリア、ウクライナ、ルーマニア、チェコ、モロッコ、トルコなどだ。もっとも中国は、依然として欧米アパレルチェーン向け生産の大部分を担い続けている。

サプライチェーンのリスク管理会社、オーバーホールのバリー・コンロン最高経営責任者(CEO)は「旧ソ連諸国で貨物輸送、トラック輸送が大きく伸びている。ハンガリーとルーマニアでも大幅増加している」と述べた。

トルコのアパレル輸出は今年、欧州連合(EU)諸国からの発注が急増して過去最高の200億ドルに達する見通し。トルコ衣料品会議所のデータで明らかになった。昨年の輸出総額は170億ドルだった。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは、今年上期の繊維、皮革、靴製品の輸出総額が7億3956万マルカ(4億3665万ドル)と、昨年1年間分を超えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは149円後半へ小幅高、米相互関税警

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中