中国当局、景気減速でも不動産規制を堅持 実行面で微調整も
もっとも中国の不動産セクターは規模が大きく、地方政府にとっては重要な収入源で、住宅価格が急落すれば社会情勢が不穏になるリスクもあるだけに、規制政策の失敗がもたらすコストは非常に大きくなる。
中国銀行の調査主任、ゾン・リャン氏はロイターに「われわれは不動産セクターの安定を優先すべきだ。不動産価格の急騰も、多くの不動産開発会社が破綻するのも望んでいない」と語った。
部分的な軌道修正
人民銀行が不動産開発会社に対し、債務圧縮とバランスシート調整を強く求める姿勢は変わりそうにない。とはいえ関係者や専門家は、一部の金融機関による行き過ぎた与信の引き締めを是正するような部分的な政策修正は、あるかもしれないとみている。
恒大集団の債務危機が深刻化した今年9月、人民銀行は住宅購入者が持つ正当な権利と利益は保証すると表明。志信投資のチーフエコノミスト、リャン・ピン氏は「三道紅線自体は変化しそうにはない。しかし、その運用ルールは若干緩められてもおかしくない。不動産向け融資の基準は緩和されなくても、融資規模がある程度増加する可能性がある」と述べた。
専門家によると、投機筋ではない純粋な住宅購入者向け融資の拡大余地が認められたり、比較的健全な不動産開発会社がより手厚い支援を受けられたりする展開もあり得るという。
ノムラのチーフ中国エコノミスト、ティン・ルー氏は「景気減速が強まる中で、政府が財政と金融の緩和を強化すると想定している。ただ、不動産セクターと二酸化炭素排出量の多いセクターへの厳しい態度は、総じて維持されるだろう」と指摘している。
それでもルー氏は、一部地方政府が独自に導入した規制の緩和や補助金積み増しなどに動くのではないかとの見方も示した。
(Kevin Yao記者)
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