中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
Too Big to Fail?
政府としては、特に不動産業界の過剰債務を削減したい。そこで昨年、不動産開発業者に財務改善を要求する「三道紅線(スリー・レッドライン)」が設定された。これは持続的な成長を確保するために、手元資金に対して保有できる負債の上限を設けるという新しい政策だ。
具体的には、資本負債比率を70%以下、純資本負債比率を100%以下、現預金の短期有利子負債比率を100%以上という指標を定め、これらの年間の増加率は15%以下に制限される。レッドラインを1つでも越える企業は新たな借り入れができず、恒大は3つ全てを満たしていない。
華融の2380億ドルを上回る3000億ドル以上という恒大の負債の大きさも、救済の可能性を薄めている。この段階で肥大化した不動産開発会社を救済することは、自らを助けようとして墓穴を掘るようなものだ。既に負債漬けの政府に、3000億ドルを上乗せするにすぎない。
債務爆弾の爆破を容認
証券会社や格付け会社は、恒大はデフォルトを回避できそうにないとみているようだ。デフォルトになれば、中国政府が「債務爆弾」を爆発させるという新たな方針の先駆けになるだろう。
あるいは、現時点では可能性は低いが、別のシナリオも考えられる。恒大が予想より短期間でデフォルトになった場合、規制当局は見て見ぬふりをできないかもしれない。
同社は運転資金をかき集めるために、800件のマンション建設計画で物件を事前販売している。最大120万人が、完成しないかもしれない新居を待っているのだ。さらに、建築資材などの供給業者も支払いを待たされている。
それ以上に危惧されるのは、恒大が完全に破綻すれば、中国経済に波及する可能性があることだ。中国では現在、家計資産の4分の3以上が住宅関連に集中している。不動産バブルがはじけてこれらの資産が消失するような事態は、政府としては避けたい。
恒大の破綻は不動産の価値に悪影響を及ぼし、消費者の富に打撃を与え、特に消費や投資の減速につながりかねない。中国共産党は不動産部門のリスク回避を重視しており、他の開発業者も既に債務削減を行っているため、恒大の破綻の影響は抑制的ではあるだろう。それでもこれだけ大規模な企業だから、余波は十分に大きくなり得る。
アナリストの間では、救済の賛成派にも反対派にも言い分がある。中国政府がリスク回避にどこまで本気かも、今すぐには分からない。
いずれにせよ、投資家は慎重に判断しなければならない。企業がデフォルトに陥った場合、中国政府がかねて示しているとおり、債券保有者は救済措置の優先順位が最も低いのだ。
From thediplomat.com
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