スポーツ観戦をよりドラマチックに...照明の新技術でスタジアムはここまで進化した
PR

味の素スタジアムに導入されたLED照明設備(パナソニック株式会社ライフソリューションズ社提供)
<スポーツの「試合会場」だったスタジアムが近年、複合的な「エンターテインメント施設」へ変貌している。ハード面からその変化を支えているものこそ、様々な面で技術的な進歩を果たし、スタジアムの光と影を司る「照明設備」だ>
スポーツの興奮や感動が生み出されるスタジアム。近年、そのスタジアムに大きな「変革」が起きている。きっかけのひとつは、民営化が全国的に促進されていることであり、集客によって採算性を高める努力がこれまで以上に重視されるようになったことだ。
同時に、スポーツ観戦はより総合的な「エンターテインメント」を楽しむ機会へと変わりつつある。その変化に大きく貢献しているのが、スタジアム用の照明である。普段、観客として私たちがスタジアムを訪れた際、その存在を意識することは少ない照明だが、どのような役割を果たしているのだろうか。
スタジアムは「利益」を生み出す場に
これまでは地方自治体が、所有および運営に深く関わってきた「公共施設」としてのスタジアム。1990年代に米プロスポーツを中心に、運営資金を確保するためのネーミングライツ(命名権)という考え方が生まれ、やがて日本にも波及していった。第一号として、2003年に東京都調布市にある東京スタジアムが味の素スタジアムへ名称を変更した。
その後、スポーツ産業拡大のためにスタジアムの民営化が推し進められ、収益性がより重視されるようになった。2016年にはスポーツ庁が「スタジアム・アリーナ改革指針」を発表。スポーツには地域を活性化させる潜在力があり、スタジアムやアリーナはその核になりえると提言した。
収益化を図るためにスタジアムには、スポーツ以外のイベントの実施などによる多機能化・複合化が期待されるようになり、さらにはコミュニティ創出の拠点とするための指針が提示された。つまり、スタジアムはこれまでよりはるかにシビアに、さまざまな利益を生み出すプロフィットセンターへ変化することが求められ始めたのだ。
こうした動きを受け、「スポーツ興行の現場」だったスタジアムでは大きな変化が起きている。試合以外の要素にも魅力を見出し、スタジアムの空間全体を体験してもらうという意識が高まってきているのである。その結果、実際に集客力が向上し、多くの新規ファンを獲得することに成功している。
例えば男子プロバスケットボール「Bリーグ」は、オープニングやハーフタイムの演出レベルの高さが評判を呼んでいる。「チームラボ」によるデジタルコンテンツや、BMXによるエアトリックショーが披露されるなど、完成度の高い「総合的なエンターテインメント」として成立しているのだ。