スポーツ観戦をよりドラマチックに...照明の新技術でスタジアムはここまで進化した
PR
「エンタメ施設」化を支えるLED照明
こうしたスポーツのエンターテインメント化に大きく貢献しているのが、スタジアム用の照明設備だ。
転機となったのはナイター設備のLED化。それまで使われていたHID(高輝度放電灯)ではできなかった瞬時の点灯・消灯が実現し、DMXと呼ばれる通信規格によるデジタル信号をコントロールすることで、豊かな表現の調光や調色などを可能にした。業界のリーディングカンパニーであるパナソニックは、さらに映像や音響を加え、スタジアムを迫力のある「劇的空間」へ変貌させたのである。
こうした照明の進化が変えたのはスポーツ観戦だけではない。例えば、これまでのスタジアム照明はスポーツの試合での活用しか想定されていなかった。しかしLEDなら、開かれるイベントに合わせてスタジアム全体の照明演出を変えられるため、幅広い用途でのスタジアム使用にも対応できるようになった。
試合のレベルアップに貢献:味の素スタジアム
多目的に利用される味の素スタジアムでは、国際大会の照明性能要件に対応するため、2019年に照明設備を全面改修。パナソニックの4K8K放送対応スタジアムビームLED投光器864台、観客席LED照明49台などを導入した。LED照明の4万時間という長寿命のおかげで交換作業が省力化され、消費電力も約37%削減されるという「省エネ化」が実現した。
照明の進化はさらに、スポーツの試合そのもののレベルアップや、観客の満足度アップにも貢献している。VRを使った高精度な照明シミュレーションによって、アスリート目線でのグレア(まぶしさ)低減検証を行い、空間情報を可視化することで精度の高い照明の配置計画を実施。独自の配光設計技術によって光源からの光を絞り、まぶしさの原因となる光の重なりを減らすことで、試合中の選手のパフォーマンスを阻害しない照明環境を生み出した。
また、サッカーやラグビーの国際大会なら、競技が行われるエリアに絞って照射するパターンに、陸上競技ならトラックエリアを含む競技場全体を照らすパターンにと、競技に合わせた照明パターンの切り替えも可能になった。
テレビ観戦においては、カメラ中継に必要な「鉛直面照度」にもこだわり、あらゆる方向からの撮影に対応。4K8K放送では特に、テレビ画面での美しく鮮明で臨場感のある映像表現が重要となるが、明るさを高めるとともに現場の本物の色を再現する「真実の光」にこだわった照明環境を整備した。またスーパースロー撮影時に発生する不快なちらつきの軽減なども実現している。
競技への没入感を高める仕掛け:FLAT HACHINOHE
2020年に青森県八戸市の八戸駅西地区に誕生した多目的アリーナ「FLAT HACHINOHE」。アイスホッケーチーム、東北フリーブレイズのホームアリーナであり、様々な氷上スポーツが行われる通年型アイスリンクをベースとし、移動式フロアによりバスケットボールやコンサート、コンベンションなどを行うことができる。
八戸市にとっては隣接する公園「FLAT PARK」などとともに、学校体育や地域行事、市民交流の場として再開発計画「八戸駅西地区まちづくり計画」の中心的な役割を担う存在だ。アリーナがまちづくりの核になり、地域を活性化させる開かれた地域共生拠点を目指している。