日本の仕事と生活の現場から「孤立」をなくす、通信インフラ「第三の道」
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●HD-PLCの工場における利用例
さまざま事情を抱えた多様な環境で、安定した通信を安価で実現してきたHD-PLCだが、その能力が最大限に生かされている現場は工場だろう。かねてからパナソニックでは、工場でのHD-PLCの利用を目指すため、工場で使われることの多い配電方式である「三相3線」でのノイズ解析などの実証実験を重ねてきた。
そして2021年6月に電波法の省令改正が実施され、600V以下の三相3線と鋼船におけるHD-PLCの利用が認められるようになった。これによって、HD-PLCは工場内のネットワークとして使われるようになり、現在同社のBtoBにおけるHD-PLCの3割以上は「工場・倉庫」で利用されている。
一方、船舶での利用は、内航海運事業者の約4割が船員の確保に苦慮している現状の解決策として考えられたものだ。内航船は沿岸部を航行することが多く、甲板や窓のある船室は陸から届く携帯の電波を受信できるが、鉄板に囲まれた船体部分にある船室には電波が届きにくい。HD-PLCを使ってネットワーク環境を構築すれば、インターネットへの接続が可能になり、船員の居住環境を劇的に改善できるようになる。
●HD-PLCの船舶における利用イメージ
社会的課題の解決策としてのHD-PLC
船舶におけるHD-PLCの利用は、配電インフラを配電情報インフラへと進化させる上で不可欠な技術といえる。
かつて、パナソニックは松下電気器具製作所時代の1920年に、二股ソケットと呼ばれる二灯用クラスターを発売。ひとつの電源から照明と家電の両方を同時に使用する生活を実現し、社会の発展に大きく貢献した。いわばHD-PLCは現代の二股ソケットであり、社会の課題を配電情報インフラで解決しようとしている。
少子高齢化によって日本の労働人口は、厚生労働省の調べでは2025年には379万人、2040年には1260万人が減少する可能性があるという。この労働力不足を補うために、HD-PLCが可能にする「現場作業における通信インフラ整備」が担う社会的意義は非常に大きい。
2023年には、最新の国際規格に対応し、通信のさらなる高速化を実現する第4世代のHD-PLCが登場する予定だ。今後も長距離や屋外、閉鎖空間といったLANケーブルの施工が困難であったり、Wi-Fiが届かなかったりする産業用途で、HD-PLCはさらに活躍の場を切り開いていくはずだ。
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「HD-PLC」対応 PLCアダプター、PLCプラグ
電力線を利用し、ビル・工場など、通信線工事・無線通信が困難な現場でネットワーク構築を実現。「マルチホップ機能」で配線長が長い場合でも高速通信が可能に。