なぜ議論を「グラフィック化」すると、ヒラメキ溢れる会議になるのか?
山田さんのグラフィックファシリテーション風景 Natsuko Yamada
<会議を活性化させる方法として注目を集めるグラフィックファシリテーションの「効能」と正しい使い方を専門家に聞く>
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
「会議で参加者の主体性を引き出せない」「革新的なアイデアが生まれない」。こうした課題を抱える企業も少なくありません。そこで注目されているのが「グラフィックファシリテーション」。対話をリアルタイムで絵図にして「見える化」することで、場の活性化を促す技術です。
その基本から実践までファシリテーターの指針をまとめたのが、『グラフィックファシリテーションの教科書』(かんき出版)。著者は一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事を務める山田夏子さんです。NHK総合『週刊ニュース深読み』でグラフィックファシリテーターとして出演されていました。
会議をヒラメキ溢れるものにするためには、心理的安全性が大切だといわれます。そんな中、対話を活性化するために、グラフィックファシリテーションをどう活かせるのでしょうか?
対話で「違い」をもっと活かしてほしい
── 改めてグラフィックファシリテーションとは何か、紹介していただけますか。
話し合いをリアルタイムで、絵と文字で「見える化」することで、場の活性化や相互理解を促す技術のことです。具体的な活用の場は、チームビルディング、ビジョン策定、組織改革など実にさまざま。オンライン会議でも意識の共有に効果的だといいます。
同時進行で話を描くという点では、グラフィックレコーディングとよく似ていますが、目的の軸足が少し違います。グラフィックレコーディングは、話の全体像をわかりやすく整理し、まとめることを重視します。成果物は「絵」のアウトプットです。
これに対しグラフィックファシリテーションで重視するのは、参加者の主体性に火がつき、場が活性化すること。成果物は、絵や色、線のゆらぎを使ったファシリテーションでどれだけ「場」が深まったかのプロセスだといえます。
── 『グラフィックファシリテーションの教科書』は全ページカラーで、ファシリテーションの本質や実践のポイントがグラフィックで豊かに描かれていて、とても魅力的でした。山田さんが本書を通じて読者にとくに伝えたかったメッセージは何ですか。
人間は多面的で複雑な存在であり、その「違い」を対話でもっと活かしてほしいという願いがありました。本来、一人の人間のなかに色々な考えや感情があります。ですが、会議やワークショップのファシリテーションをしていると、それを言語という記号だけではとても表しきれないなと感じていたのです。
グラフィックファシリテーションの教科書
著者:山田夏子
出版社:かんき出版
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