タイ、自動車輸出急増で過去最高額へ コロナ禍で打撃の観光業を補完
商務省によると、同国の1-5月の自動車輸出額は124億ドルで、昨年全体の214億ドルの半分を既に超えた。
一方で国家計画当局によると、外国からの観光客は今年、約50万人程度にとどまる見通し。19年は4000万人近くと最多を記録していた。
トヨタ・モーター・タイランドは今年の同社の完成車輸出台数が18%増の25万4000台と見込む。アジアとオセアニアの需要拡大が理由という。
世界的な半導体供給問題はこれまでのところ、タイの自動車生産を大きく混乱させてはいない。ただFTIは、このリスクはまだ残ると慎重にみている。
トヨタやマツダの広報担当者によると、両社とも生産に必要な半導体は十分に確保できている。ホンダ・タイランドの広報担当者はロイターに、半導体不足から5月に1カ所の工場を停止したものの、顧客への影響は何とか限定的にできていると語った。
豪、ベトナム、日本向けが好調
トヨタ・モーター・タイランドの幹部のNuntawat Srivaratachkul氏はロイターに、ワクチン接種の進展と政府の経済対策が主要市場の需要を支えていると話した。
タイのオーストラリア向け自動車輸出は5月に3倍余りに増え、対ベトナムでは約10倍、対日本では76%増えた。
オーストラリアは2017年に自動車メーカーが現地生産拠点を撤退。今は経済がコロナ禍前水準に回復し、政府の景気刺激策もあいまって企業と消費者の需要を支えている。これを追い風に企業がピックアップトラックの購入を増やしている。
ベトナムでは自動車輸入の手続きが簡素化されたことも貢献した。
FTI広報担当者によると、ピックアップトラックへの強い引き合いは世界的にたまっていた需要が出てきていることを示す。「景気が良くなってきて取引も増えてきたら、ピックアップトラックを買わないといけないでしょう」と説明した。
(Orathai Sriring記者、Satawasin Staporncharnchai記者)
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