最新記事

金融

バハマでデジタル通貨「サンドドル」始動 国家による全域導入に世界が注目

2021年1月3日(日)11時30分

将来の世代は、これが時代の転換点だったと振り返るかもしれない。商業銀行の役目をひっくり返し、事実上の世界通貨であるドルの地位を揺るがしかねない技術を、初めて全土で国家が導入した瞬間だ。写真はナッソーのカフェNRGのオーナー。11月撮影。提供写真(2021年 ロイター/Central Bank of The Bahamas (CBoB))

それはおよそ、革命には見えなかった。 グリーンスムージーとフエダイのバーガー。場所はバハマのヘルシーフード・カフェだ。

だが将来の世代は、これが時代の転換点だったと振り返るかもしれない。商業銀行の役目をひっくり返し、事実上の世界通貨であるドルの地位を揺るがしかねない技術を、初めて全土で国家が導入した瞬間だ。

バハマ中央銀行が発行した、アプリで使えるデジタル通貨「サンドドル」を使って購入された最初の商品が、このスムージーとバーガーだった。

首都ナッソーでカフェNRGを営むドーン・サンズさんは、ビデオを通じてロイターに仕組みを説明しながら、「簡単よ。メッセージが出たら入金完了。人々が慣れ親しめば大きく広がっていくと思う」と語った。

住民約39万人の群島国家で始まったこの実験は小規模なものだが、米連邦準備理事会(FRB)から欧州中央銀行(ECB)、中国人民銀行、英イングランド銀行まで、世界各国の主要中央銀行が注視するだろう。

こうした中銀も現金の利用が減ったことで微妙な立場に立たされており、各々、独自のデジタル通貨の発行を見据えている。

中銀は、自分たちを用無しにしようと生み出されたビットコインのような暗号資産(仮想通貨)を警戒しつつも、革命の可能性を秘めた船には乗り遅れたくないし、米フェイスブックのような巨大IT企業の暗号資産には土俵を譲りたくないと考えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「ドル等価」目前のユーロ、急反転で市場混

ビジネス

ブルーバード遺伝子治療、FDAが規制措置の要否検討

ワールド

韓国中銀、15年ぶり2会合連続利下げ トランプ氏復

ワールド

トランプ政策で一段とインフレ不安定も、NZ中銀幹部
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 3
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウクライナ無人機攻撃の標的に 「巨大な炎」が撮影される
  • 4
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 9
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 10
    谷間が丸出し、下は穿かず? 母になったヘイリー・ビ…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中