最新記事

貿易

中国、輸入食品に「コロナ検査」 輸出国側、科学的根拠なしと大反発

2020年11月19日(木)19時15分

中国側のコロナ検出に疑問の声

ニュージーランドのアーダーン首相は16日、中国・済南市がニュージーランドからの冷凍牛肉で新型コロナウイルスを検知したと発表したことに対し、疑わしいと反論。ニュージーランドからはウイルスの付着などない状態で輸出されたと確信しており、中国側からは何もはっきりした情報が届いていないと説明した。

8月には中国・深セン市がブラジルからの鶏手羽肉から新型コロナウイルスが見つかったと明らかにすると、ブラジル政府関係者は現地に乗り込んだ。

しかし、ブラジル農業省によると、中国の当局は活性化したウイルスを発見したかどうかの情報をブラジル側に提供できなかった。

中国政府の通商担当者によると、中国はWTOの場で、こうした措置について「科学的根拠に基づいた暫定的な判断」で、「中国国民の生命を最大限守る」ことが狙いだと主張した。

また、同国は冷凍タラのサンプルから、感染力を持つ状態の新型コロナウイルスを分離することに世界で初めて成功したとし、これが食品から人にウイルスが感染する証拠だと主張している。だが、具体的な科学的根拠は公表していない。

欧州連合(EU)の在中国代表部高官のグドラン・ガルホフ氏は、今月の食品安全性をテーマにした会議で、中国の検査方法とその結果について輸出側はもっと情報を必要としていると主張。中国に対し、貿易をするのなら相手のことは公正に扱い、情報共有の機会を与えなければならない、と注文を付けた。

(Dominique Patton記者 Emma Farge記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナが改めて浮き彫りにした「毛皮工場」の存在
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



20250211issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月11日号(2月4日発売)は「中国経済ピークアウト」特集。人類史上かつてない人口減で「アメリカ超え」に赤信号 [PLUS] DeepSeekの実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏下院でバイル首相の内閣不信任案否決、予算成立に道

ビジネス

ECB、利下げ慎重に 中道アプローチ適切=レーン専

ビジネス

米国株式市場=続伸、企業決算を消化 金利見通しも支

ビジネス

米クアルコム、1─3月業績見通し予想上回る AIが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 8
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 7
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中