最新記事

コロナショック

インバウンド効果消えた関西経済 コロナ倒産秋口から急増か

2020年7月31日(金)17時56分

コロナ長期化への懸念

コロナの感染拡大が経済に与える悪影響を抑えるため、日銀は3月以降、企業の資金繰り支援策などを矢継ぎ早に打ち出し、倒産件数が抑えられるなど効果が出ている。倒産件数が抑えられたことで「4―6月期の通過段階で与信費用を積み増す地銀はあまりいないのではないか」(アナリスト)との声も出ている。

しかしコロナの影響が長期化し、倒産が増えれば、資金需要がひっ迫しやすい年末に向けて金融システム不安が高まりかねないと懸念する声もある。日銀内では、中間決算時の与信費用見直しに注目する向きがある。

金融庁内では、コロナの影響がどの程度長引くか見通しにくいことで地銀の財務健全性への影響も読みづらいとの声が出ている。

地銀の健全性は大丈夫か

金融庁も日銀も、現時点で日本の金融システムは安定しており、金融機関の健全性に問題はないとの見方で一致している。金融庁が集計した地方銀行(国内基準行)92行の自己資本比率は20年3月期時点で9.52%と、最低限必要な4%の2倍超だ。

金融庁は金融機関に対し、資金繰り支援を徹底するよう再三要請している。銀行がリスクを負わない信用保証付きの無利子・無担保融資に偏重しないよう、プロパー融資の実態調査を行う。補正予算に盛り込まれた信用保証付き無利子・無担保融資に当てはまらない融資のパターンも多く、同庁内では金融機関は借り手の要望に柔軟に応じていくべきだとの声が出ている。

さらに、金融機関に公的資金を注入するための金融機能強化法の申請期限を延長。公的資金の注入を受けても、経営者責任を問わない、収益性などで数値目標を課さないといった東日本大震災時と同様の特例を設けた。金融庁内では、自行の財務基盤が心配で企業の資金繰り支援をためらうなら、公的資金の注入を申請するのが望ましいとの声が出ている。

倒産件数、秋口に急増の可能性

心斎橋を見ていってください。中国からの観光客でいっぱいですから――。昨年末、大阪の地銀関係者はこう話し、インバウンドに沸く大阪を熱く語った。カジノ構想、大阪万博など大型のビジネス機会もあり、隣接府県から地銀が営業攻勢を強めていた。しかし、コロナ流行で状況は一変した。

東京商工リサーチ・関西支社によると、7月度の大阪府の倒産件数は前年同月の98件を上回った。情報部の新田善彦氏は「今後、感染拡大が長引くようであれば、今回の金融支援策の効果も得られなくなり、2―3カ月の運転資金として借り入れしていた資金が尽きたころにさらに倒産が増加するリスクがある」と指摘。「断定はできないが、秋口頃から一気に増加する可能性がある」とみている。

関西の地銀の正念場はこれからだ。

和田崇彦 木原麗花(和田崇彦、木原麗花 編集:石田仁志)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・新型コロナウイルス、患者の耳から見つかる
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・がんを発症の4年前に発見する血液検査
・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に


20200804issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月4日号(7月28日発売)は「ルポ新宿歌舞伎町 『夜の街』のリアル」特集。コロナでやり玉に挙がるホストクラブは本当に「けしからん」存在なのか――(ルポ執筆:石戸 諭) PLUS 押谷教授独占インタビュー「全国民PCRが感染の制御に役立たない理由」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物7%急落、約3年ぶり安値で清算 中国が報復

ビジネス

トランプ氏、TikTok米事業売却期限をさらに75

ビジネス

パウエルFRB議長、早期退任改めて否定 「任期全う

ワールド

グリーンランドはデンマーク領であること望まず=米国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 3
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 4
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 5
    大使館にも門前払いされ、一時は物乞いに...ロシア軍…
  • 6
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    地球の自転で発電する方法が実証される──「究極のク…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    4分の3が未知の「海の底」には何がある? NASAと仏…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中