コロナショックに苦しむ日本の航空業界 夏が行き先占う分岐点
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新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。写真は羽田空港で2013年8月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。ANAホールディングスや日本航空(JAL)は大幅減便・運休などで対応しているが、感染の終息は見通せず、金融市場でも信用力への懸念が出ている。業績の先行きを占う上で、本来なら繁忙期であるはずの夏をどう迎えるかが鍵になりそうだ。
GWの予約も状況変わらず
「数時間立っていても、乗客2人に対応する程度」――。成田空港国際線カウンターで働くスタッフは、ここ1カ月余りの空港の様子をこう語る。例年、忙しい時間帯には約30組が並び、トイレに行く暇もないが、今は人の気配がない。
感染拡大を防ぐため、各国は渡航規制を強化。日本政府も世界の約3分の1強となる計73カ国・地域を渡航中止勧告の対象とし、国民に外出自粛も要請している。
4月の予約数はANA、JALともに国際線が約8割減、国内線は約6割減となり、運航数も国際線で9割近く、国内線で2割に相当する減便に追い込まれている。両社はゴールデンウィーク(GW)期間中の減便・運休を近く発表するが、関係者は「GW中の予約も4月とほぼ同じ状況で、同規模の減便・運休が続くだろう」と話す。
国内航空19社が加盟する定期航空協会によると、コロナの影響による2―5月までの業界全体の減収は約5000億円で、2008年のリーマン・ショック時の約3000億円をすでに上回る。事業環境は悪化しており、この状態が1年間続けば2兆円は下らないことになる。協会は国に政府保証付き融資、着陸料や空港使用料、燃料税などの減免、雇用調整助成金の引き上げなどを求めている。
国土交通省は、国管理空港などで2月分から半年間の使用料徴収を猶予する。