自然災害多発で注目、企業評価の新指標「気候変動リスク」
「近い将来に解消できるリスクではない」
ファンドマネジャーらが気候変動リスクを重視するようになったのは、今年1月に起きたサンフランシスコの電力会社、パシフィック・ガス&エレクトリックの倒産が契機だったという。
2017年と2018年の大規模な山火事は同社の設備が原因とされている。同社は賠償負担が300億ドルを超えるという予想を踏まえ、連邦破産法第11条に基づく破産申請を提出していた。
今年10月23日に発生した山火事は、カリフォルニア州最大の公益企業である同社の資金調達を危うくし、140億ドル規模の再生計画の先行きに暗雲をもたらす可能性がある。
一方、米国環境情報センターによれば、10億ドル以上の損害をもたらした気象・気候災害は今年に入ってから10件を数えており、1980年から2018年にかけての通年平均である6.3件に対して、すでに2倍近くに達している。
スイスの再保険会社、スイス・リーによれば、8月までの自然災害関連の保険請求15億ドルのうち、13億ドルは山火事やヒョウなど、かつては二次的な危険とされていた事態に関する請求だという。
山火事の増加を受けて、ヒスコックスなどの保険会社は新たなリスクモデルを導入。カリフォルニアなどリスクの高い地域では、一部の顧客に対する保険提供を停止している。同州保険監督局によれば、全体では保険会社の10%が州内の山火事多発地域における契約更新を断っているという。
S&Pグローバル傘下のトゥルーコストなどの調査会社は、投資家の評価を助けるため気候リスク分析の提供を拡大している。同社は今後数週間以内に大きなリスクを抱える企業に焦点を当てたレポートを公表するという。
シリコンバレーのスタートアップ企業ジュピターは今年3月、2300万ドルの資金調達を完了したと発表した。分析サービス事業を拡大することが目的で、これによって、投資家や企業に特定の地点における短期・長期の詳細な気象パターンを提供できるようになるという。
PGIMフィクストインカムのマネージング・ディレクター(マルチセクター・戦略担当)を務めるグレゴリー・ピーターズ氏は、「これ(気候変動リスク)は、近い将来に解消される類いのものではない」と話す。
ピーターズ氏率いる不動産投資担当チームのアナリストらは気候変動リスクにますます注目するようになり、同氏はカリフォルニアの公益事業数社の保有ポジションを縮小した。
「公益事業各社が抱えているのは、数年前だったら我々も必ずしも考慮しなかったような、新しい種類のリスクだ」(同氏)という。
(翻訳:エァクレーレン)


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