トランプの対中貿易戦争で米企業が悲鳴 輸入関連を襲う3つのコスト増
こうした状況のため、輸入企業の資金繰りが難しくなっている。また貿易紛争は、原材料、輸送・保管コストの上昇につながっており、一部の輸入企業が支払い不能に陥る生じるリスクが増大している。
「大半の輸入企業はこれほどの関税を支払うことに慣れていない」と、ローノークのクラーク氏は言う。「何がリスクかといえば、輸入企業が関税のためにどこか別のところから資金を調達できるかだ」
米国の通関代行や物流業者で組織する業界団体は、会員企業が25万社の輸出入業者と取引をしている。エイミー・マグナス会長によれば、カナダから鉄鋼を輸入していた企業は関税が25%になって倒産したという。
運転資金が不足、借り入れが増加
通関代行業者4社はロイターに対し、規模の小さな顧客は輸入をすべて止めてしまったと話している。
ヘングリのワン氏によれば、必要な現金が昨年7月以来4倍に膨らみ、中国のサプライヤーに支払いの繰り延べをお願いせざるをえなかったという。さらにコストの上昇だけでなく、顧客も失いつつある。より価格の低い中国製品以外のサプライヤーに乗り換えた顧客もいるという。
「フォーチュン500」に入るに有力企業を顧客にするプレシジョン・コンポーネンツ社は、中国からベアリングを輸入している。デイブ・ハル社長によれば、輸入関税が25%に引き上げられた昨年7月6日以降、中国から到着するコンテナ1個当たりのコストは1万5000ドル上昇した。
同社は年間約40個のコンテナを輸入。必要な運転資金を賄うため、昨年7月から月平均20万ドルの融資を受けているという。それ以前は約5万ドルだった。
さらに、シカゴの通関代行や物流業者で作る業界団体のジェイン・ソレンセン会長によれば、顧客企業に代わって関税を納付する通関代行事業者は、肩代わりした支払いの請求期限を短くするようになったという。かつては30日以内というのが一般的だったが、それが7─10日以内に短縮された。
シカゴで通関代行を手がけるビル・シャープ氏は、顧客に代わって払った関税の回収期間を以前の半分の15日間に短縮した。それでも顧客企業が債務不履行に陥る懸念があるという。
「債権回収にリスクが生じないよう、すべての顧客を注意深く見守っている」と、シャープ氏は話す。
(翻訳:エァクレーレン)
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