ファーウェイと対イラン制裁を結んだ点と線 米当局「潜航捜査」の舞台裏
ZTEからファーウェイへ
関係者によると、ZTEの捜査が終結に向かいつつあった2017年2月14日、財務省や商務省、国土安全保障省や司法省から十数人が参加し、ワシントンでファーウェイ追及の方策について話し合った。
このときブルックリンの連邦検察が、ファーウェイと英金融大手HSBCとの関係を議論したという。HSBCは米国の資金洗浄禁止法や制裁法違反で、2017年末まで米検察によるいかなる捜査にも協力することを義務付けられていた。
HSBCは2016年末にファーウェイに関する内部調査を始めていた。ロイターが閲覧した資料によると、米当局者はワシントンでの会合から数カ月間、同行から情報提供を受けながら、スカイコムとファーウェイを関連付ける証拠を集めた。
調査では、孟氏が2013年にHSBCの行員と面会したことが判明。孟氏はその後、この行員にパワーポイントの資料を渡した。そこにはファーウェイとスカイコムの関係が記載されていたが、米側の起訴内容は、その記述を不正確なものだとしている。
HSBCはロイターに対し、米司法省の要請に応じて情報を提供したと回答した。
ワシントンの検察当局はこれと並行し、ファーウェイに対するより伝統的な輸出管理の捜査を行った。この中には、ロイターが2012年に報じた、コンピューターを違法にイランに輸出しようとした疑いも含まれていた。
2017年4月、ファーウェイの米国法人に対して大陪審の召喚状が出され、この問題が刑事事件として訴追されることが初めて明確に示された。
これを察知したファーウェイは、イランとの取引を知る中国人従業員を米国から出国させたり、証拠を隠滅したと、検察側は指摘している。孟氏など幹部は、米国への渡航を見合わせるようになったという。
ファーウェイ捜査に詳しい関係者2人によると、ローゼンスタイン司法副長官は2017年夏、ブルックリンの連邦検察に訴追を任せることを決め、ワシントンの検察は手を引いた。ブルックリン検察は、すでに司法省の資金洗浄対応部署と連携しており、他の省庁の担当者も、ブルックリン検察のチームに合流した。
法律の専門家によると、違法にイランへ輸出された米製品の多くは米当局の捜査権限が及ばないため、銀行詐欺のルートの方が、訴追に早くたどり着ける可能性があったという。また、制裁違反や輸出違反より銀行詐欺の方が、他国政府に容疑者の逮捕と身柄の引き渡しを要請できる可能性が高く、時効も長かったという。
孟氏とファーウェイは、銀行をだまして不正送金した詐欺の罪で起訴されている。訴追書類によると、前出のパワーポイント資料の「数々の不正確」な記述が、孟氏の訴追内容の柱になっているという。
事件の指揮を執るようになってから12カ月後、ブルックリン検察は秘密裡に孟氏の逮捕状を取得した。
その約4カ月後、孟氏が12月1日にメキシコに向かう途中でバンクーバーに立ち寄るとの情報が入り、カナダ当局に空港で拘束するよう要請した。
(翻訳:山口香子、編集:久保信博)
[6日 ロイター]
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