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「デジタルファースト」が切り拓く日本の未来 〜 少子化と国際競争力低下に打ち克つ切り札とは?

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2019年3月18日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

少子化に伴う人材減少と国際競争力低下への切り札

左から、アドビ マーケティング本部 副社長、秋田夏実氏、NEC 社会公共ビジネスユニット戸田文雄常務理事、内閣官房 情報通信技術総合戦略室の奥田直彦参事官

左から、アドビ マーケティング本部 副社長、秋田夏実氏、NEC 社会公共ビジネスユニット戸田文雄常務理事、内閣官房 情報通信技術総合戦略室の奥田直彦参事官

続いて催されたのは、アドビのマーケティング本部副社長、秋田夏実氏をモデレーターに、内閣官房 情報通信(IT)技術総合戦略室の奥田直彦参事官と、NEC社会公共ビジネスユニット戸田文雄常務理事が参加したパネルディスカッション。まず、秋田氏より「デジタルファーストを推進する理由」を問われた両氏はともに、少子化に伴うリソースの減少と国際競争力の低下と回答した。

加えて戸田氏はデジタルガバメントの先進事例として、出生時に国民IDと電子メールアドレス、そして、各種の給付を受ける銀行口座が付与されるデンマークを紹介。さまざまな手続きがワンストップで完結するため行政運営が効率化し、これが国民一人あたりのGDPが日本の約1.5倍(2017年)という高い生産性に寄与する一面ともなっていると推察。デジタル化は少子化による生産性の低下を克服し国際競争力も向上する。また、デジタル化により行政の透明化も推進され、結果として持続可能な社会が実現されるのではないかと語った。

一方、デジタルガバメントを推進する行政側の立場の奥田氏は、その課題として従来からいわれる「縦割り行政の弊害」について言及。しかし、近年、IT総合戦略本部や政府CIO(内閣情報通信政策監)の設立以降は、横串での事業が比較的進み、政府のデジタル化も横展開でできるタイミングになってきていると、その展望を明かした。

奥田氏はさらに、デジタル化による行政サービスの利便性の向上と、少子化による職員の減少に対応した行政の効率化、そして生産性の向上による国際競争力の強化、この3つを最終的なゴールに位置づけていると説明。そのために、IT系に精通した人材を集中し、情報システムの予算・調達を省庁間で一元化することも検討していると、デジタル化に向けた現状を語った。

アドビのジェイムズ・マクリディ社長が挨拶

セミナーの最後にはアドビのジェイムズ・マクリディ社長が挨拶

数年後には住民票や戸籍謄本などがデジタルに

セミナーの終了後に開催された記者懇談会では、奥田参事官より改めてデジタル手続法案及びデジタルガバメントの推進に関しての現状と、今後のスケジュールが語られた。法案が今国会で成立したとしても、関係する法律や政令の改正も必要となり、システムを構築しなければならない。しかし、企業の「登記事項証明書」に関しては先行的にシステム構築も始まっているため、2020年度には実装され、完全オンライン化が始まると予想する。

一方、もっとも使用頻度の高い住民票や戸籍謄本などに関しては、戸籍とマイナンバーとの連携が2020年度から始まるため、これ以降のシステム構築となる。ゆえに実装とサービスの開始は4,5年後になる見通しであるという。なお、今回のデジタル化については、全市町村で足並みを揃え一斉にスタートするのではなく、サービスの提供が可能な自治体から順次スタートすることが実現への近道であるとのことだ。

デジタル手続法案がもたらす恩恵は、我われには行政サービスに対するグッドエクスペリエンスを、そして、行政サイドには窓口及びバックヤード業務における効率化がもたらされ、それがサービスの質と生産性の向上へと寄与することは間違いない。しかし、デジタル化による進化はそれにとどまらず、日本のあらゆる仕組みや制度、そして、我われの仕事や生活をも大きく変える可能性を持っている。法案の成立が起爆剤となり、日本のデジタルトランスフォーメーションがさらに加速することは言うまでもない。

Text:高野智宏
Photo:二石友希

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