「デジタルファースト」が切り拓く日本の未来 〜 少子化と国際競争力低下に打ち克つ切り札とは?
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基調講演を行った平将明衆議院議員
住民票や戸籍謄本などの各種行政手続きを、原則オンラインで行うことを定めた「デジタル手続法案」の国会審議に向けた調整が行われている。そうしたなか、米国で各州政府のデジタル化をサポートしてきたアドビが「デジタルファースト時代に向けて」というセミナーを開催した。この法案が必要とされる背景とは? そして、我われの生活にどんな変化もたらすのか──。
「デジタル手続法案」とは?
さる2月19日、アドビとGR Japanとの共催により開催されたセミナー「デジタルファースト時代に向けて」において基調講演を行ったのは、元内閣府副大臣で自由民主党IT戦略特別委員会の委員長代理を務める平将明衆議院議員であった。以前は党ネットメディアの局長や経済構造改革に関する特命委員会の事務局長などを務めたほか、現在はサイバーセキュリティ対策本部の副本部長や人工知能未来社会経済戦略本部の幹事も務める、党内きってのIT通だ。
講演のタイトルは「経済構造改革とデジタルファースト」。2年半前、自民党内に設立された経済構造改革に関する特命委員会が、アベノミクスの次の一手として推進する柱のひとつが「デジタルファースト」で、昨年から法案化を目指している政策である。
デジタル手続法案とは、行政サービスのすべてをデジタルソリューションにより変革する「デジタルトランスフォーメーション」を促すものだ。その3つの柱として、(1)個々の手続き・サービスが一貫してデジタルで完結する「デジタルファースト」、(2)一度提出した情報の再提出を不要とすることで、行政手続きにおけるさまざまな添付書類の撤廃を目指す「ワンスオンリー」、(3)引越しや婚姻、介護に死亡といった主要ライフイベントに関する手続きのワンストップ化を推進する「コネクテッドワンストップ」が掲げられている。
これらデジタルファースト社会の実現に欠かせないのが、すべてのデータと手続きが紐づくマイナンバー(カード)の存在だ。平議員は、各デジタルファースト施策とマイナンバーカードを連動させることで、将来的には被災時の罹災証明をカードへ発行可能とするなどの展開を検討。将来的には、マイナンバーをスマートフォンで電子認証できるようにすることを挙げ、国民が利便性を享受できる環境を構築することが重要だと語った。
公的書類のデジタル化でコスト効率は42倍に
次いで登壇したのは、アドビのグローバル政府渉外・公共政策担当バイスプレジデントのジェイス・ジョンソン氏。「米国の行政サービスにおけるデジタル化への取り組み」を紹介した。
ジョンソン氏がまず示したのは、米国民におけるあらゆる業種の各種サービスへの満足度を調査したデータ。その結果、もっとも満足度が高かったのが民間企業のEコマースであり、一方、もっとも満足度が低かったのが政府のサービスであると紹介。その理由は、紙に依存していることや使われているテクノロジーが古くセキュリティが低いこと、そして、職員たちのITスキルの低さなどを挙げた。
ジョンソン氏によれば、もっとも重要なのは「市民のエクスペリエンス」。アクセス容易な使いやすいサービスの提供が良き政府の礎となり、市民が行政サービスに対して求めていることだと力説する。
またジョンソン氏は、アドビのデジタルコンテンツ管理ソリューション「Adobe Experience Manager」や電子サインソリューション「Adobe Sign」、そして分析ソリューション「Adobe Analytics」テストとターゲティングソリューション「Adobe Target」といった、政府の課題を克服し市民にグッドエクスペリエンスを提供するアドビの統合デジタルエクスペリエンスソリューションを紹介。これらソリューションを活用し、書類制作のワークフローを紙主体からデジタル化することにより、実に42倍ものコスト効率が図れると説明した。