アジア発「スキンケアする男」に熱視線 シャネルなど大手ブランドも参戦
中国が鍵
ユーロモニターによると、韓国人男性1人当たりがスキンケアに使う費用はすでに群を抜いており、米国やフランスの10倍以上となっている。
「韓国では若く見られたいというプレッシャーは相当強い。職探しでも、見た目は20歳で、経験は20年なければならない」と、コスメ業界の調査会社ビューティーストリームズのクリエイティブディレクター、マイケル・ノルト氏は指摘。「文化的な側面もある。ボーイッシュなイケメンがトレンドだ」
男性用ではないメーク用品がすでに男性に人気の韓国市場は競争が激しく、化粧品メーカーにとってこれはチャンスでもあると同時に試練でもある。
韓国最大のオンラインストアGマーケットでは今年1─8月、男性消費者に対するマスカラやリップなどの化粧品売り上げが前年同期比130%増となり最高を記録した。
シャネルは9月、韓国で「ボーイ」を先行販売した。来年には他のアジアや米国、英国の実店舗で発売を開始する。一方、日本国内の店舗やオンラインで販売展開するACROは、来年には韓国やタイに進出しアジア市場への参入を計画している。
男性化粧品市場において、中国に進出できるかが最終的な鍵を握るだろう。
仏化粧品大手ロレアルの予想によると、今年の中国美容市場の規模は推定390億ユーロ(約5兆円)で、2030年までにこの2倍以上に拡大する。男性消費者の関心はすでに表れ始めている。
中国電子商取引2位の京東商城(JDドット・コム)は、6月に行った特別セール期間中の最初の17日間で、化粧品を購入した男性消費者の数は前年比61%増加したとしている。フランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下のクリスチャン・ディオールや、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が日本で展開する高級ブランド「SK-II」が人気だという。
「実際に変わり始めている」と語るのは、上海に拠点を置き、ミニブログ「新浪微博(ウェイボー)」で約27万人のフォロワーがいる男性コスメブロガー、ツリーツリー・ウーさん(26)だ。ウーさんは、歌手のリアーナがLVMHと組んで立ち上げたメークアップブランド「フェンティ・ビューティ・バイ・リアーナ」のファンだと公言する。
「男性スターだけでなく、多くの若い男性がコスメを使っている。普通の人たち、学生でさえ少なくとも眉は描いている可能性がある」
(Haejin Choi記者、Sarah White記者、Sam Nussey記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
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