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投資の基礎知識

大人気のIPO(新規公開株式)銘柄、「その後」を追いかけて分かったこと

2018年12月18日(火)19時45分
岡田禎子 ※株の窓口より転載

ビーブレイクシステムズ<3986>

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●2017年6月15日・東証マザーズ上場

上場初日は値がつかず、翌日16日に公募価格1,670円の4.6倍となる7,700円で初値をつけました。しかし、同日高値の8,300円が天井となり、その後は過熱感もあって利益確定の売りが続き下げ止まらず、9月6日には3,685円と50%近く調整しました。

テモナ<3985>

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●2017年4月6日・東証マザーズ上場

上場初日は値をつけず、翌日7日に公募価格2,550円に対して3.2倍の8,050円の初値。5月1日に1万100円の高値をつけましたが、ここが天井で、その後は調整局面入りします。9月に初値から40%近くの下落となる5,000円をつけた後は、業績の好調から6,000円に戻して推移しました。

SKIYAKI<3995>

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●2017年10月26日・東証マザーズ上場

初日は値がつかず、翌日27日に公募価格3,400円を2.5倍上回る8,400円で初値をつけました。30日には高値9,560円をつけましたが、その後はジリ安。12月には好決算であったにもかかわらず材料出尽くし感から初値から30%以上の下落となる5,510円をつけました。

シャノン<3976>

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●2017年1月27日・東証マザーズ上場

2017年最初のIPOとして好需給となり、上場初日は値がつきませんでした。翌営業日に公募価格1,500円を約4.2倍上回る6,310円で初値、2月3日に7,370円の高値をつけます。ところが6月に業績を下方修正し、11月には2,060円まで売られました。上場時にはクラウド関連株として人気化した銘柄でしたが、初値で買った投資家は60%以上も含み損を抱えたことになります。

UUUM<3990>

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●2017年8月30日・東証マザーズ上場

上場初日は値がつかず、翌日31日に公募価格2,050円に対して、約3.3倍上回る6,700円で初値がつきました。同日6,800円の高値をつけた後は相場全体の地合も悪く急落、9月8日には4,400円となるなど、初値で買った投資家は約1週間で30%以上含み損を抱える結果となりました。

ディーエムソリューションズ<6549>

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●2017年6月20日・ジャスダック上場

上場初日は値がつかず、翌日21日に公募価格である2,500円の2.8倍となる7,100円で初値がつきました。22日には8,500の高値となりましたが、その後急落。7月頭に、9月末に1株→2株の株式分割を実施することを発表した際には一時反発したものの、その後は軟調に推移しています。

本当の勝負は"2曲目"から

2017年デビュー組のトップ10銘柄のうち、年末の12月29日終値で初値を上回っていたのは、ヴィスコ・テクノロジーズ<6698>とサインポスト<3996>の2社のみ。このことから、IPO銘柄では、初値近辺が天井となりやすいことがわかります。

そのため、上場後に買い付ける場合には、デビュー時の数字だけに気を取られず、個々の銘柄を見極めて判断することが重要です。そのような投資手法を「セカンダリー投資」といい、初値売りを狙う場合とは違ったIPOの面白さがありますので、そちらもどうぞご参考に。

[筆者]
岡田禎子(おかだ・さちこ)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。現在テレビ東京系で放送中のドラマ「インベスターZ」の脚本協力もしている。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
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