倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...
2018年度の入学定員充足率を大学の規模別に見ると、定員が3000人以上の大学は100.6%、1500人以上3000人未満の大学は100.5%、1000人以上1500人未満の大学は104.3%、という定員充足率にもかかわらず、300人以上400人未満の大学は98.2%、200人以上300人未満の大学は99.4%、200人以上300人未満の大学は95.8%、100人以上200人未満の大学は95.8%、100人未満の大学は92.8%となっている。
これを見てわかるように、入学定員の規模が大きい大学は定員を充足し、入学定員400人未満の規模の小さな大学は定員割れだ。同調査では、中国・四国・甲信越・北海道の私立大学では定員割れになっている。
しかし、それ以下の規模になると状況が変わってくる。400人未満の大学は、どの区分においても定員割れとなっている(下の表を参照)。
地域社会と大学のあやうい関係
倒産した大学の傾向として、これまでに「歴史が浅い」「ブランドイメージが低い(名称変更が多い)」「規模が小さい」という特徴を取り上げてきた。そして、もう1つ、いわゆる三大都市圏以外にある「地方の大学」という点が挙げられる。
下の表のように、首都圏や中核都市がある県の大学では入学定員充足率が100%を超えた一方で、それ以外の地方にある私立大学では、定員割れを起こしている傾向がある。
この背景には、すでに指摘されてから久しい印象のある少子化問題に加えて、地方から都市部、特に東京圏への人口流出がある。わが国は2008年をピークとして人口減少局面に入っており、2050年には9700万人程度にまで減少すると予測されている。
加えて地方と東京圏の経済格差等が、若い世代の地方からの流出と東京圏への一極集中を招いている。これにより首都圏(東京、埼玉、千葉、および、神奈川県の一都三県)への人口集中は全人口の3割という、諸外国に比べても圧倒的に高い一極集中を生み出してしまった(首相官邸『まち・ひと・しごと創生総合戦略 (案)』P1)。
その結果、地方経済の縮小に拍車がかかり、それがさらに東京圏への人口流出を呼ぶという「負のスパイラル」が生まれはじめているのだ。
地方の大学もこの「負のスパイラル」とは無縁ではいられない。地方の若い世代は大学進学時と卒業時に東京圏へ流出しており、その要因として政府は、地方に魅力ある雇用が少ないことと、地域ニーズに対応した高等教育機関の機能が不十分であることを挙げている(前掲著P38)。