最新記事

外食産業

モス「海老天ぷらバーガー」は非常識の塊? ガラパゴス的進化、次の一手は?

惜しむらくは、知る人ぞ知るサービスにとどまっている点だろう。モスの特徴が、全国1335店舗中1296店舗がフランチャイズ(2018年4月末時点)というFC率の高さ。地域密着を重視し、店舗がアイデアを出して開発したご当地バーガーや、地域の子どもたちに向けた食育など、地域ごとの店舗を拠点としたさまざまな取り組みを行っている。お客との、顔と顔によるコミュニケーションを大切にしているようだ。

今は拡散手段がさまざまに発達しているので、新商品や、「にくにくにくバーガー」などのようなキャッチーなキャンペーンを利用することで、さらにブランドを広く印象づけることができそうだ。

一部店舗では午前中からビールが飲める

またあまり知られていないといえば、モスでは2017年6月より一部の店舗にて、「モスバル」というアルコール販売の取り組みも行っている。午前10時30分より、ハンバーガーにとポテトなどと、ドリンクを組み合わせた「通常セット」に、+140円でドリンクをビールに変更OK。また午後3時からは「バルセット」として、好きなハンバーガーに+620円で、ビール(プレミアムモルツ350ml缶)と単品なら290円のバルメニュー(ポテトやオニオンフライ、ソーセージなど)3種から選べるセットを提供する。都市部の約170店舗ほどという小規模なものだが、「お客様の選択肢の1つとして」(角田氏)始めたものだそうだ。

ちなみに「ちょい飲みブーム」がその数年前から始まっており、牛丼屋やファストフードチェーンなどはいち早く対応していた。

newsweek_20180529_205000.jpg

元日本食の料理人というモスフードサービス商品開発部の荒木光晴氏(編集部撮影)

「以前より一部店舗でアルコールを提供していましたが、このたび、お客様のニーズの高い立地への導入を意識して、『モスバル』というパッケージとして展開しました。バーガーとビールは相性がいい、という認知が広まり、利用機会の拡大につながればと考えています」(角田氏)

ちょい飲みブームやグルメバーガーブーム、アルコールを提供する海外チェーンの上陸で、ハンバーガーにビールというコンビは日本で定着とはいかないまでも、よく知られるようになってきた。ただ、お腹がいっぱいになってしまうのが難点。おつまみに最適なサイドメニューが豊富で、満腹になりすぎない「菜摘」といった商品もあるモスなら、ちょい飲みしやすそうだ。

今はこのサービスについてまだ知名度が低く、実施店舗も限られている。コアなモスファンにとっては「モスなのに飲める"穴場"」として利用できそうだが、裾野の拡大を目指すならば、「モスバル」の存在についてもっと知られる必要がありそうだ。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

ニューズウィーク日本版 トランプ関税大戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月15日号(4月8日発売)は「トランプ関税大戦争」特集。同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ

ワールド

焦点:「化粧品と性玩具」の小包が連続爆発、欧州襲う

ワールド

米とウクライナ、鉱物資源アクセス巡り協議 打開困難

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ619ドル高 波乱続くとの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中