「日本の宿泊業界は、今後爆発的に成長する」一棟貸し民泊の挑戦
新法は大きな追い風になる
デビッドソン:私自身は、シンガポールをベースに働いているのだが、シンガポールだけでなく、台湾や香港など、アジアの人々の多くが今一番行きたい場所として日本を挙げる。
しかも、シンガポール人の場合、3、4回訪れている人がいるほど、日本への旅行のリピート率は高い。初めて行く場合は、東京や京都を回るだけだが、回数を重ねるごとに日本をもっと「探索」したいと思うようになる。なぜなら、日本は探索すべき場所にあふれているからだ。
観光客の目的は食べ物だったり、自然だったりさまざま。今の時期だったら紅葉や雪を見たり、温泉に入ってみたいという人が多い。私のように暑い国に住んでいる人にとって、今の時期の日本は「暖かい服」を着るチャンスでもある(笑)。
――日本で旅行業をやる難しさはありますか。
ノルト:むしろ、新たな規制(来年6月に施行される住宅宿泊事業法)は、私たちにとってはチャンスになると考えている。新法はバケーションレンタルを正当化するだけでなく、市場を形成する役割を果たしてくれると思う。これによって、市場が一気に膨らむことが予想される。これまでは、グレーな部分が多かったが、新法は私たちが重点を置いている家のレンタルにとっては追い風だと考えている。
――日本では、瀬戸内沿岸7県と事業者が設立した観光促進を行う法人「せとうちDMO」と組んでいます。
デビッドソン:せとうちを通じて、海外からの観光客を、これまで行ったことのないような場所に導き、滞在させたいと考えている。せとうちには、たくさんの伝統的な日本家屋があり、観光客は日本の地方でしかできないような、本当の日本の生活を体験できる。東京のような大きな街を飛び出して、地方でしか会えないような人に会ったり、食べられないものを食べられるようになるのは観光客にとってはうれしいことだ。
長期滞在者は肩肘をはらずに滞在したい
――日本に対する関心がそこまで高いとは・・・。
ノルト:口コミの威力が大きい。たとえば、今回私が知人たちに日本に行くという話をしたところ、4人から「去年日本に行って、とんでもなくすばらしい体験をした」「人生でベストな時間だった」とか、「来年行くから詳しく教えてほしい」など熱い反応があった。10年前だったら誰も食いつかなかっただろう。
デビッドソン:日本にいたら気が付かないだろう。日本には、ビックリするような大都市があるだけでなく、文化も多様で、地方に行けば美しい地形や風景に出会える。山があって、海や海岸があって、食事も最高だし......。たとえば、シンガポール人には美食家が多いが、日本に行くと伝えると、みんなが「あそこでこれを食べたほうがいい」と教えてくれる。