ベンツの弟分「スマート」が日本で躍進している理由
店舗を運営する輸入車ディーラー、シュテルン京都の河原律子専務によると、「(オーダーメイドのスマートは)設計事務所やデザインの分野で仕事をしている方からの注文が多い。半年という納期でも待ってもらっている」という。
誰でも気軽に立ち寄ってもらえるよう、スマートセンターにはカフェも併設した。プロのラテアートを楽しめるほか、電子機器の充電コンセントも設けている。
クルマ好きだけではなく、地元住民や、たまたま通りかかった観光客、動物園帰りの家族連れまで、「スマート」のブランドを広く知ってもらい、親しみを持ってもらうことが狙いだ。
このディーラーらしからぬ建物は、MBJとシュテルン京都がアイデアを持ち寄って生まれたものだ。MBJマーケティング・コミュニケーション部スマート課の坂井正剛マネージャーは、「京都らしさと、誰でも入りやすい雰囲気を感じられる空間を作りたかった。京都のさまざまな場所を探す中で、もともとカフェだった日本風の建物を見つけ、クルマ屋によみがえらせた」という。
MBJはこれまでも京都府と提携しており、京都の魅力を伝えるプロジェクト「もうひとつの京都」に昨年から参加。4月からは、京都駅前で利用できるカレコのカーシェアサービスにスマートを6台提供。さらに今回のプロジェクトに合わせて6月、京都府と地域活性化連携協定を締結した。
今後は観光事業の振興や伝統事業の継承、地域活性化への取り組みで協力していくという。街乗りに適したライドシェア事業などの展開も検討する。
上野社長は「京都府とは以前からさまざまな取り組みを続けており、ご縁がある。スマートに乗って、京都市内の観光地以外の京都も楽しんでもらいたい」と、プロジェクトへの期待を込めた。
親会社は排ガス不正の渦中にいるが...
今年2017年は、スマートとメルセデス・ベンツを合わせた日本での販売台数で、5年連続の最高記録更新に期待がかかっている。だが5月23日、本国ドイツではディーゼルエンジンの排ガス不正への関与について当局の捜査が入った。これに対し同社は7月21日、欧州、日本、韓国でディーゼル車の無償改修を行うことを発表した。
今後の捜査の進展によっては、日本での販売にも影響が出てくる可能性も否定できない。この逆境を乗り切れるのか。スマートが担うべき役割はそのサイズ以上に大きいといえる。