「1万円から資産運用」ロボアドバイザーは貯金感覚で広がるか
テオは最大手ネット証券・銀行とタッグ
サービスの刷新以上に事業へのインパクトを与えそうなのが、SBIグループとの提携だ。SBI証券の預かり資産額は6月末で11.4兆円と、ネット証券で断トツの1位。住信SBI銀行の預金残高も約4兆円(2016年度)と、こちらもネット銀行の中ではトップだ。国内のオンライン金融市場で圧倒的な両社と提携することで、潜在顧客と接触する機会が一層増やせるという算段だ。
実際、預かり資産額で国内のロボアド首位のウェルスナビも、その3分の2がSBIグループ経由となっている。同社は今年初めにSBI証券と住信SBI銀行経由の利用者募集を始めたことで、裾野の広がりに拍車がかかった。
「テオの募集開始以来、ウェルスナビの申し込みは減っていない。ただテオはウェルスナビの2〜3倍の勢いで伸びている」(住信SBI銀行の円山法昭社長)。テオにもウェルスナビと同様、あるいはそれ以上の追い風が吹いているようだ。
2016年以降、野村証券や大和証券といった大手証券会社などの新規参入が目立った国内のロボアド市場。今回お金のデザインが打ち出した新戦略によって、投資金額の引き下げで競争が激しくなりそうだ。
ウェルスナビは当初、少額だと十分な投資パフォーマンスが出せないとして最低開始金額を100万円に設定していた。だがテオに先立つこと1カ月、今年7月に30万円に引き下げている。
投資金額とパフォーマンスは背中合わせの関係だ。ハードルを下げようとして開始金額を下げると、運用パフォーマンスが犠牲になる。あるいは、パフォーマンスを引き上げるために、追加の費用を投じて取引などのシステムを増強する必要がある。事業者に残された選択肢はシステムの増強以外にない。
「ロボアドは総合格闘技だ」。あるロボアド業者首脳はそう語る。投資のアルゴリズムだけでなく、証券取引や税金処理のシステム、送金や決済の体制整備、アプリの開発、セキュリティ、ブランド戦略など、一般的な金融サービスやアプリの開発よりも幅広い分野に力を割く必要があるからだ。
顧客は大事な資産を預けるので、通常のアプリなどに比べてサービス内容を見定める視線が厳しい。「使ってみて、全部の要素が整っていると実感できないと、利用者はお金を入れてくれない」(同)。