2016年のネット配信はこう変わる──米メディアが予測する動画・音楽サービスの新トレンド
VRおよび360度コンテンツ配信の台頭
2016年はバーチャルリアリティ(VR)のコンテンツも充実していきそうだ。Varietyによると、Huluは今春、VRヘッドセット向けコンテンツの配信を開始するという。Universal Music Groupも、VRヘッドセットで楽しむコンサートや音楽ビデオなどのコンテンツを年内にリリースする計画だ( Hypebot.comの記事)。先のOnlineVideo.netの予想では、360度ビデオの実験的な配信も、昨年の先行組に加え、今年数社が実験に乗り出すという(以下はフェイスブック上で公開された『スター・ウォーズ』の360度ビデオ)。
Speed across the Jakku desert from Star Wars: The Force Awakens with this immersive 360 experience created exclusively for Facebook.
Posted by Star Wars on 2015年9月23日
360度ビデオは、ブラウザ上の閲覧でも十分に面白いが、VRヘッドセットで見るとさらに没入感が増すだろう。今後マーケティングに活用する企業が増えれば、360度ビデオの特性を活かすさまざまな工夫が試みられて、楽しみ方が広がるはずだ。
定額制音楽配信の高音質化
音楽に話題を移すと、高音質化のトレンドがストリーミング配信にも及びそうだ。96kHz/24bit以上のいわゆる「ハイレゾ」フォーマット(CDの44.1kHz/16bitよりも解像度が高い)の楽曲は、ダウンロード販売では数年前から提供されてきたが、Fast Companyの予測によると、アップルが今年、ハイレゾ音楽のストリーミング配信を開始。そうなると、有料会員向けに320kbpsの「高音質」圧縮フォーマットを配信しているスポティファイなど、競合サービスにプレッシャーがかかり、高音質化の動きが広がるとみている。
音楽ストリーミングサービスの淘汰
Fast Companyはまた、現在10社もの定額制音楽サービスが競合する米国では、淘汰が始まるのは時間の問題だとしている。アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾンの4強がすべて参入を果たしたことで、比較的小規模なサービスは撤退または買収されるとし、候補としてTidalやRhapsodyを挙げている。
なお、日本での音楽ストリーミングの勢力図に影響を与えそうなのが、現在米国のみで提供されているグーグル傘下の「YouTube Music」だ。これは基本的にはスポティファイと同じ、広告付き無料配信と広告無しの有料配信のフリーミアムモデル。日本からYouTube Musicにアクセスすると、日本語でサービス概要が掲載され、「ダウンロード」のボタンからサービス開始の告知を受けるためのメールアドレスを登録できる。スポティファイかYouTube Musicか、どちらかが今年日本でサービスインして、「無料で聴き放題」の時代が到来するかどうかも気になるところだ。