デルがIT史上最高額でEMCを買う狙い
新会社はHPの脅威、そしてIBMのライバルになる
神童は健在 かつてパソコンの価格破壊をリードしたマイケル・デル Jana Asenbrennerova-REUTERS
パソコンメーカーのデルは、大量のデータを扱うためのデータストレージ・メーカー、EMCを670億ドルで買収することで同意した。IT業界史上最大の買収だ。
デルのCEOマイケル・デルはEMCの会長に就任し、世界最大の統合型IT企業を創設することになる。
ビジネス専門チャンネルCNBCによると、IT業界の買収におけるこれまでの最高額は、アメリカの半導体メーカー、アバゴ・テクノロジーが今年5月にライバル企業のブロードコムに提示した370億ドル。だが、アバゴとブロードコムの交渉はまだ最終合意に至っていない。
デルは2015年の7~9月期、1,010万台以上のパソコンを出荷し、レノボとヒューレット・パッカード(HP)に次ぐ世界第3位になった。しかし、パソコン需要の縮小で、2015年4~6月期の出荷台数は9.5%減少し、ほぼ2年ぶりに大きく落ち込んだ。
法人向けソリューションへ進出
当然のことながらデルは、新分野への進出を狙っていた。その点、EMCはデータストレージで19.2%のシェアを握る世界のリーディング企業。傘下には、クラウドと仮想化サービスに特化した子会社ヴイエムウェアもある。
今回の買収で新会社は「法人向けソリューションの一大勢力」になる、とデルは言う。「次世代IT市場で最も重要な分野で成長が狙える」