デルがIT史上最高額でEMCを買う狙い
今回の買収には、いわゆる「ゴーショップ(Go-shop)」条項が含まれている。この条項は、EMCが他社からの買収提案を検討して他社との取引がまとまった場合に、デルに違約金を支払うというもの。だが対抗案が出る可能性は低い、とロイターは報じている。
米市場調査のテクノロジービジネスリサーチ調査部のバイスプレジデント、スチュアート・ウィリアムズは、今回の買収は「IT業界の巨大企業2社」がさらなるスケールメリットを求めて統合する一例であり、デルがより広い市場で勝負できるようにするためのものだという。「デルは小企業から中堅企業にかけて非常に強く、EMCは大企業に強い」と、ウィリアムズは言う。
IT産業の分析を行う調査会社フォレスターリサーチでリサーチディレクターを務めるグレン・オドネルは、今回の買収が確認される以前から、EMCの買収によって、デルは統合型IT分野の重要なプレイヤーになるだろうと述べていた。サーバーからストレージ、端末やソフトウエアまでを一括して提供するサービスだ。
「デルとEMCの合併は、HPにとって深刻な脅威となるだろう。デルの大きな弱点はストレージ部門だったが、EMCと結びつくと、HPやシスコシステムズ、IBM、あるいは最近成長著しい華為技術(ファーウェイ)と競うために必要な、フルラインの製品ポートフォリオをもつことになる」