ミレニアルズ世代が熱狂する「カスタマイズ」とは何か
――起業のきっかけはどのようなものでしたか?
2006年の冬、USC(南カリフォルニア大学)の経営学部を卒業したばかりの私は、自分のこれからを考えながら、まずは母と一緒にスノーボードのインストラクターを始めることにしました(母は1998年からインストラクターを務めているベテラン)。スノーボードのインストラクターを務めるにあたり、雪山と自宅を運転しながら、車内でよく「栄養」の話をするのが私たちの日課でした。
というのも、私たち親子はいわゆる「健康オタク」で、2人になるとその話題でもちきり。そんな健康オタクの私たちがいつも繰り返し話をしてしまう「ある食べ物」がありました。そうです、それが「プロテインバー(シリアルバー)」でした。
スノーボードのインストラクターをしている私たちは、生徒へ教えている時も、自分たちで滑っている時も、中断をしてまで昼食をとることをめんどうくさく感じていました。なので、他のアスリートの方もそうするように、持ち運びのできるプロテインバーを昼食代わりにするのを好んでいました。しかし、そこで問題があったのです。当時、私たちが購入していたプロテインバーはどれも、ブドウ糖果糖液糖、保存料など、いわゆる体に悪い添加物が多く含まれていました。
「なぜ、誰も完璧なプロテインバーを作らないんだろう?」という疑問が浮かび、そういえば「完璧なプロテインバーとは何だろう?」と話し始めるうちに、1つ問題が浮き彫りになりました。それは、一言に私たちが思い浮かぶ「完璧なプロテインバー」といっても、母と私が求めるプロテインバーは全く違っていたことです。
成分でいえば、私はタンパク質と脂質が多いものを、母はタンパク質は少なめで糖質の少ないものを求めていました。もちろん、味の好みも異なりました。私はピーナッツバター味が嫌いでしたが、母はその味が好きでした。
このようなことがわかってから、私たちは「完璧なプロテインバー」という考えからは脱却し、私たちにとっての「完璧なプロテインバー」を手作りすることからスタートしました。私向けには、生のナツメヤシと生のアーモンド、母向けにはピーナッツバターとココアパウダー、ホエイプロテインもたっぷりいれました。
すると、どうでしょう。大量生産された市販のプロテインバーを口にすることをやめて数週間のうちに、1つの現象が起きました。体調がよくなったんです。