ルーブル危機でロシア経済はもう手遅れ
同時にウクライナ問題で欧米の経済制裁も受けている。ロシアの政府系銀行や石油企業が発行する債券のうち、満期までの残存期間が1カ月以上のものの取引を禁止している。つまりこれらのロシア企業が債券を発行して資金を調達しようとしても、30日未満のお金しか借りられないということだ。金利をさらに引き上げても、経済を立て直して資金を呼び戻すことはできない。
ではどうすればロシア経済は生き返るのか? おそらくどうにもならない。ブルームバーグは、通貨統制が導入されるという憶測を伝えている。最低限、資金の国外流出を食い止めるためだ。
前例はある。90年代後半のアジア通貨危機では、マレーシアが資金流出を防ぐために通貨統制を実施した。しかしこれもまた、扱いにくい方策だ。通貨統制を真剣に検討した瞬間から、投資家がドアの閉まる前に資金を引き出そうと動くリスクが生じる。またロシアを牛耳る富豪たちは、自分の資金の動きを規制されるのは嫌がるだろう。
そもそも、通貨統制はうまく行かないかもしれない。ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、アンダース・アスルンドは、「世界中で一番、通貨統制を逃れるのがうまいのがロシア人だ」と話している。ロシア経済を救うために今できることは何かたずねると、彼はこう答えた。「経済制裁を終わらせることが唯一の策だ。他に選択肢はない。経済制裁が無くなれば、政府系金融機関などの資金調達は通常に戻る」
もちろん、そのためにはロシアがウクライナ問題で西側の要求に屈しなければならない。しかしその可能性はありそうもない、と言わざるを得ない。
© 2014, Slate