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地政学

石油を制す者は世界を制す
エネルギー界に迫る地殻変動

2014年11月6日(木)17時24分
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)

パワーバランスが変わる

 しかし、アメリカの石油が今後10年か20年で世界のエネルギー市場を根本から変えるといえるだろうか。答えはノーだ。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、中東とロシア、アフリカの石油は、あと20年は引き続き需要が高そうだ。

 その状況を劇的に変えるためにカギを握るのは、シェール層の岩盤を破砕して原油やガスを取り出す「フラッキング(水圧破砕法)」という掘削技術だ。この技術が世界的に普及すれば、世界のエネルギーに真の変革をもたらすような影響を与えるだろう。

 水圧破砕法はコストが高い。しかし、中国やインドなど大規模な新興市場で普及して将来の需要を喚起すれば、採掘コストが下がり、原油の供給が潤沢になって、原油価格が大幅に下落するだろう。そして、世界のエネルギー市場とパワーバランスの秩序が見直される。

 シェール開発は、まだ初期の段階だという見方もある。初期の不格好なパソコンを買うのは、もっぱら企業だった。インターネットも高速処理もない時代に、情報革命が世界を変えるなど誰が想像しただろうか。
今まさに、中国企業はひそかにエンジニアを集めて国内でシェールの採掘場所を探しつつあるようだ。彼らの開発のめどが付けば、いよいよエネルギーの世界的な地殻変動が始まる。

[2014年11月11日号掲載]

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