モディの改革は世界経済を救うか
外資規制の緩和に着手
アメリカだけではない。世界中の企業にとって中国市場は重要な成長のエンジンとなった。中国にとっては、外資の導入によって国内の工業化が進んだ。中国経済の好調は、01〜02年と08〜09年の世界同時不況を限定的にとどめる役割も果たした。
中国が経済発展のために最初に取った措置の1つは、外国の資本と競争に対する市場開放だ。さらに大規模な都市化計画に着手し、現代的なインフラを整備し、農村から都市への出稼ぎを奨励した。その取り組みはまだ終わっていない。
インドは今、同様の政策を取ろうとしている。もちろん中国は中央集権的な政府があらゆる面で強力な指導権を握っており、インドは混乱しがちな民主主義ゆえの長所と短所を持つという違いはある。
その一方で、一般的な認識とは異なり、中国政府は地方政府の管理に苦労してきた。インドの中央政府も強力ではあるが過去20年以上にわたる連立政権によって一貫性のない政策を取ってきた。
現在のインドには、消費に積極的な都市中流層が00年当時の中国よりも多く存在する。モディ政権は今回の予算案に大規模なインフラ整備計画を盛り込んだが、中流層を対象とする減税策にも取り組む見込みだ。
モディはグジャラート州の首相時代に、外国企業を積極的に誘致して地元経済を活性化させた実績がある。そしてこのモデルをインド全体に導入したい考えを、選挙戦のときから明らかにしていた。
しかしインドには外国からの投資を制限する規制がある。近年各分野ごとに規制を緩和する動きがあるものの、その複雑なルールは依然として外国企業の直接進出を妨げている。外資規制はインド国内の腐敗を助長する側面もあった。
今回の予算案で、モディ政権は防衛と保険の2分野で外資規制を緩和することを明言。出資上限を従来の26%から49%に引き上げるとしている。防衛産業はインドの市場開放をアピールする分野として最適とはいえないが、少なくとも他の分野を開放する先駆けになるだろう。