最新記事

トレンド

カフェ王国築いた韓国のスタバ愛

首都の店舗数ではイタリアやアメリカもしのぐ韓国スターバックス。出店規制をものともせず急拡大中

2014年6月27日(金)12時41分
テジョン・カン

快進撃 韓国チェーンも健闘しているが目下は一人勝ち状態だ SeongJoon Cho-Bloomberg/Getty Images

 いま世界一のカフェ大国といえば、イタリアかアメリカ......ではなく、なんと韓国だ。首都ソウルにはスターバックスの店が284店舗ある。ニューヨークよりも7店舗多い驚異的な人気ぶりだ。韓国全体では642店舗で、世界で6番目に多い。

 スターバックスの大躍進に警戒を強めているのは韓国生まれのカフェチェーン各社。国産ブランドを守り、多様性に富んだカフェ文化を存続させようと、当局に規制を求めている。

 スターバックスが韓国に1号店を出したのは99年。以後急成長を遂げ、00年代は年間約30店舗、11年以降は約80店舗のペースで増加した。昨年は新たに122店舗、今年は4月までで50店舗が新たにオープンしている。

「韓国ではスターバックスは高級ブランドとみられているので、貸しビルのオーナーが出店を歓迎する。ビルのイメージアップにつながるからだ」と、ソウルにあるスターバックスの店舗のマネジャーは匿名を条件に明かす。「ソウルとその近郊は既にカフェが飽和状態で、チェーン各社は地方進出を目指している。スターバックスもその例外ではない」

国産ブランドに大差つけ

 スターバックスの躍進を横目に、韓国生まれのカフェチェーンは苦戦中だ。スターバックスの主要なライバル「エンジェル・イン・アス」は今年に入って30店舗、「カフェ・ベネ」は10店舗、「ホリーズコーヒー」は5店舗、「トゥーサム・プレイス」は10店舗増えただけだ。

 店舗数の差は売上高の差に直結する。スターバックス韓国の売上高は年間4億5000万ドル前後だが、一番近いライバルのエンジェル・イン・アスは約2億9400万ドルだ。

 韓国公正取引委員会は11年11月、中小企業を保護するためフランチャイズ大手の出店規制に乗り出した。新制度では国産ブランドも含め100店舗以上を展開する大手チェーンは、既存店から半径500メートル圏内には新店舗の出店が認可されない。だがスターバックスは直営店方式なので、規制の対象外となる。

 韓国では10年に設置された民間組織「同伴成長委員会」が、大企業と中小企業の競争状況の調整を行っている。外食産業の中小企業団体が、大手チェーンに規制を課すようこの委員会に公式に要請したが、今のところ前向きな回答は得られていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中