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航空アメリカ「格安航空時代」は終わった
USエアウェイズとアメリカン航空の合併で再び大手航空会社の時代へ逆戻り
冬の時代へ これからアメリカでは航空運賃が値上がりし、サービスは低下するだろう Mike Theiler-Reuters
安価な運賃で空の旅を楽しんできた者に受難の時代が訪れた。原因は、先日発表されたUSエアウェイズとアメリカン航空の合併だ。既にノースウエスト航空はデルタ航空に、コンチネンタルはユナイテッドに、エアトランはサウスウエストに買収されており、これで近い将来、4大航空会社がアメリカ市場の約70%を占めることになる。
これが独占とまでは言わないが、30年以上にわたって熾烈な競争が繰り広げられ、常に運賃が下げられてきた時代はこれでほぼ終わったと言っていい。
かつては運賃が米民間航空委員会によって定められ、各社が利益を得られる仕組みになっていた。だが70年代後半から80年代前半にかけて、カーターとレーガン政権下で行われた規制緩和によってすべてが変わった。
新規参入組が次々と現れ、従来の航空会社の既得権益を脅かし始めた。サウスウエスト航空のように州間の路線を拡大し、全米展開する航空会社が現れると、運賃は下がり便数も増えた。
利用者にとっては黄金時代だったが、航空会社にとっては価格とサービス競争に追われた時代。結局、どこの会社も赤字に苦しむようになり、現在のような業界再編に至った。
経営破綻は氷山の一角
今回の合併で発表された主な目標は、国内路線の「無駄を削減」すること。平たく言えば、競争とサービスを減らすことだ。乗客に我慢を強いることで収入を上げようとする合併はひどい話に聞こえる。
だが現実は、アメリカン航空の経営破綻だけにとどまらず航空業界全体が苦境に陥っている状態だ。それに、利用客はこれまで身に余るぐらいのサービスや低料金の恩恵を受けてきたではないか。
今回の合併は悪い話に聞こえるかもしれない。だがもっと最悪なのは、これよりいい代替案がないという苦い現実だ。
© 2013, Slate
[2013年3月 5日号掲載]