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米消費「キャッシュ・モブ」は小売店の救世主
SNSで呼びかけ抗議デモ、じゃなくて買い物へ──不況が生んだ新しい消費スタイル
群衆は力 地元の自然食品店で小銭を高々と掲げて見せる住民たち Aaron Josefczyk-Reuters
景気がパッとしないアメリカでは、小規模な小売店は苦戦中。だが、そんな小さな商店に頼もしい援軍が現れた。地元の店を支援するために見知らぬ人が集合し、最低10〜20ドルの買い物をする「キャッシュ・モブ」だ。
モブとは群衆のこと。「フラッシュ・モブ」は、会ったこともない人たちがSNSなどで連絡を取り、公共の場に集まってダンスや歌などのパフォーマンスをしたり、デモをすること。キャッシュ・モブも同じ方式だ。店に事前に連絡することもあるが、予告なしの場合もある。
小売店としては、この動きは大歓迎。最近の調査では、全米の小規模な小売店の4割近くが売上高の減少に悩んでいる。
バージニア州で文具や書籍などを扱うアパラチア・プレスは、キャッシュ・モブの到来で「たった45分でクリスマス・シーズンの1日分を売り上げた」。
ミネソタ州初のキャッシュ・モブを組織した主婦のリサ・ザーンは「手軽に実行でき、安上がりな」運動だと話す。
だが1回だけのサプライズでは効果は限定的だと、オハイオ州でモブを行った弁護士アンドルー・サムトイは言う。「人々の意識が変わるきっかけになればいいのだが」
[2012年3月28日号掲載]