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スマートフォンサムスン「史上最大のスマホ」の勝算
「大型」新製品がブームだが、iPhoneの独走は止められない
デカ! 5.3インチ大画面のギャラクシーノートがアメリカに上陸 Lee Jae Won-Reuters
先週末にアメリカでも発売されたサムスンの「ギャラクシーノート」は史上最大のスマートフォン。「スマホでもない、タブレットPCでもない」との触れ込みで、横が約8.3センチ、縦が約14.7センチ。このギャラクシーノートを筆頭にスマホの大型化競争が繰り広げられている。
どう考えても理屈に合わない。デカいスマホは携帯に不便で、片手で持ちづらく、バッテリーも早く消耗しがちだ。薄くて大きいから、耳に当てているときに突風でも吹けば、あおられて吹き飛ばされそうだ。強みといえば、ポケットから取り出したときの優越感くらいしかない。
アメリカではギャラクシーノート発売まで、ギャラクシーネクサス(やはりサムスン製でグーグルの携帯用OS「アンドロイド」を搭載)が最大のスマホだった。横約6.8センチ、縦約13.5センチとアップルのiPhone(横約6センチ、縦約11.5センチ)の1・3倍以上だ。
ある研究によれば、人間の手のひらの幅は普通、男性で8.4センチ、女性で7.4センチくらい。これより大きくても持てないことはないが、やはり疲れやすい。その点、ギャラクシーネクサスはやや大き過ぎる。モトローラのドロイドXやドロイドレーザー、HTCのタイタン、ノキアのルミア900なども、横7センチ前後ある。
少し前までは誰もがより小さいスマホを欲しがったのに、なぜ急に大きいスマホが注目されているのか。それは1つには流行、1つには他社との競争、1つには技術が原因だ。
80年代に登場した初期の携帯電話はどれも巨大だった。83年に発売された世界初の一般消費者向け携帯電話、モトローラのダイナタックは縦33センチ、横9センチ近く、厚さ4センチ余りあった。不格好だが4000ドルもしたので、持っていることがステータスになった。
それからの20年は、部品を小型化して携帯電話をより小さくすることが技術上の主要な課題となった。その結果、新しくて、より高価で、誰もが羨む製品は少しずつ小さくなっていった。
差別化のための大型化
しかし2000年代を迎える頃には、小型化が限界に達した。手のひらよりはるかに小さいスマホを作ることも技術的には可能だが、ほとんどの場合、メーカーは手の大きさに合う設計に落ち着いた。
iPhoneはタッチスクリーン採用の流れを生み、業界全体の手本となったかに思えた。07年にiPhoneがリリースされてから数年間は、タッチスクリーン式のスマホの最上位機種はほとんどがiPhoneくらいの大きさだった。
そうなると、どの製品もデザインは似たり寄ったりになってしまう。過去数年間、スマホ市場の競争が激化するなかで、メーカー各社は他社との差別化を必要としていた。
一方、液晶パネルのコストが下がったおかげで画面の大型化が可能になった。大型化すれば第4世代の高速通信技術LTEに対応できたり、アンドロイドの画面解像度を上げてもアイコンやフォントが小さくならないといったメリットも指摘されている。そこで特にアンドロイド携帯のメーカーが、差別化のため大型化に走った。
デカくても問題ない、大きい画面は最高だ、というユーザーも少なくないだろう。好みは人それぞれだ。
それでもあえて言おう。今のところ世界で最も売れているiPhoneは発売当初からサイズを変えていない。ライバルも見習うべきだ。大きいことはいいことだ......とは限らない。画面が大きくなるほど操作性は落ちる。目立つスマホより、売れるスマホを作るべきだ。
© 2011 WashingtonPost.Newsweek Interactive Co. LLC
[2012年2月29日号掲載]