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【13】アイスランド、アイルランド、スペイン。
今回の金融危機が起こるまで、この3カ国の成功は世界から注目を集めていた。北欧の漁業国だった人口30万人のアイスランドは、外国から借り入れた資金をてこに世界中で投資銀行業を展開。国民1人当たりGDP(国内総生産)で世界3位まで躍進した。国策として金融業に力を入れていたところへ、00年代半ば以降、インフレ対策で高金利政策を取ったことから、外国から預金や投資マネーが殺到した。
一方、アイルランドとスペインは99年のユーロ発足に参加するため金利を引き下げたことから、借り入れが容易になり不動産投資の大ブームが起きた。両国とも、移民の流入による人口増と好況による所得増が相まって、住宅需要が爆発的に拡大した。06年のスペインの住宅着工件数は、人口が5倍ある英仏独の合計を上回った。
それが天国とすれば、金融危機以降は3カ国とも地獄の様相だ。1月のスペインの失業率はEU(欧州連合)内でトップの14・8%。IT産業の隆盛などで「ケルトの虎」と呼ばれたアイルランドも08年9月にユーロ圏で最初の景気後退に突入した。
アイスランドでは通貨が暴落。08年前半には1ドル=60クローナ前後だったが、9月には200クローナを超え、外貨建ての借金が膨れ上がった。
大手銀行の借金はGDPの10倍に上り、10月には最大手銀行が外債の利子を支払えない債務不履行に陥った。財政難で各国にある大使公邸を売りに出したり防衛庁の廃止を検討するなど、まさに国家破綻の瀬戸際にある。
グローバルな成長モデルの模範とされた3カ国だが、これからは借り入れを元手にした金融や不動産のバブルの高い代償を支払わなければならない。
[2009年4月15日号掲載]